命は誰のものか 増補改訂版

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命は誰のものか 増補改訂版

  • ISBN:9784799327296

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内容説明

生命倫理の入門書ロングセラー 全面増補改訂!

出生前診断、優生思想、尊厳死、脳死・臓器移植……
考える手がかりは、ほぼすべて本書の中にあります

あなたならどうする?
・パンデミックでは患者に優先順位をつけていいと思いますか?
・出生前に障がいがあるとわかったら、その子を産みますか?
・治る見込みがないのに、生かし続けられることを選びますか?


初版刊行の2009年から12年が経過し、その間に生命倫理の視点から考えるべきさまざまな新しい問題が生じた。
まさに現在わたしたちが直面している「コロナ・トリアージ」、ゲノム編集、優生思想、出生前診断、安楽死、脳死臓器移植等々について大幅に増補したほか、
初版記載のデータも全面的に更新した。現在、生命倫理の最も充実した入門書となっている。

「はじめに」から
現在、人間の生命をめぐって、どのような問題が生まれ、どのような議論があり、なにが問われているのか。
問題は、さまざまな価値の大本にあるわたしたちの命にかかわっている。そこには、現在の社会が直面している課題が典型的に示されている。
とりあげるのは、一四の問いである。それが、目次に示したように、各章のタイトルになっている。
まず第一章では、医療資源の配分論と呼ばれる問題をとりあげ、生命倫理の問いの基本的な特徴を考えてみる。
第二章では、その関連で、「コロナ・トリアージ」の問題を取り上げる。
続く第三章から第七章までは、人間の誕生、生命の始まりの場面を扱っている。
中心となるのは、障がいや検査技術(第三章・第四章)、「強制不妊救済法」と優生思想(第五章)、不妊治療として急速な発達を見せてきた生殖技術(第六章・第七章)をめぐる問題である。
後半は、生命の終わり、人間の死に場面を移し、治療停止や安楽死の問題(第八章・第九章)から始めて、
「人生会議」と呼ばれる日本版ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の問題(第一〇章)を経て、
二〇〇九年に法律が改正された脳死臓器移植に関するさまざまな問題をとりあげる(第一一章・第一二章)。
終わりの二章(第一三章と第一四章)では、脳死臓器移植やゲノム編集技術をめぐる問題を受けながら、
いわば全体のまとめとして、生命倫理と呼ばれる議論がどのようなものであったのか、また、なにを問うべきなのかを考えることにしたい。

正誤表
本文に誤りがありましたので、下記の通り訂正するとともにお詫び申し上げます。
4ページ8-9行目
誤)ソフォクレス
正)プロタゴラス

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

15
この身体も意識も自分だけのものだ。それなのに何故自由意志に基づく自殺は許されないのか。他にも医療現場におけるトリアージや出生前診断による障害児の選別などを取り上げ、生命倫理について考えていく。医療の目覚ましい発展により肉体の限界を超えて生かしてしまうことが可能になったけれど、そうした不自然なケアは本当に良い行いなのか。誰でも所有している生命なのに日常的にそれについて深く考えることはない。自らの生を肯定するためにも、生命倫理的な観点から生きるというイベントを考えてみるのは大切なことだよな。2023/09/04

ヒナコ

14
本書は、医療資源分配・出生前診断・代理母による出産・安楽死・脳死・臓器移植・ヒトゲノム編集と、生命倫理に関することが網羅的に解説されている。これは、2009年に同タイトルとして出版されたものを、加筆・修正したもので、コロナ禍での人工呼吸器の配分など最新のアクチュアルな議論も新たに加筆されており、読みごたえはあった。内容的には、初学者向けのものが多く、すらすら読める構成になっている。→2022/03/26

うさうさ

13
だいぶ前に購入してたのにようやく読み終えた。 優生学、臓器移植、安楽死、出生前診断などもとから興味もあり個別に書籍を読んでたものが、「生命倫理」というものだと知った。 正解はない、どう考えるか。 科学の進歩もな… 「私たちはどのような世界を望むのか」2023/12/02

めん

11
最近数年、医療資源の有限性を考えることが多い。/最初に1960年開発の透析器が、患者数に比べ台数が不足、「彼らは、誰が生き、誰が死ぬのかを決定する」との「シアトル事件」を取り上げ、「生命倫理、あてどない旅」を思い知らす。このあてどない旅は、14章全てで続く。其々の章のテーマは、パンデミックの状況でのトリアージ、重度障害新生児の治療、尊厳死…。各課題に相応の組織が提言等を示している。不意打ちに起こる決断が必要な場面で「不断の変化と動揺のうちにある」としても、後悔のない選択ができるように、学び考え続けたい。図2022/02/21

武井 康則

10
医学の進歩が誕生と死に及んだ今、人倫に悖ると思われる行為もそれぞれの事情から求める人が現れる。まさしくトロッコ問題そのもの。そんな現在の医療を豊富な実例を挙げながら説明している。結局は経済力がモノを言う。人体が医療資源であり、人のモノ化も進むだろう。これにAI、ビッグデータ、環境が加われば、(もう臓器移植と遺伝子、ゲノムは含まれている)誰も全体を把握できなくなるだろう。2023/12/06

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