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内容説明
著者は、クリスティーズに入社後、長らくオークションを担当したのち、6年前からプライベートセール(売り手と買い手が市場を介さず直接、話を進める)専門となった。これは一般的なオークションとは違い、その分野の査定ができるスペシャリストであるとともに、自分で買い手を探すため、人脈を持っていないとできない仕事である。世界中のコレクターや美術館とつながりを持ち、超一級品にじかに触れ、作品が収まる歴史的な瞬間を見守ってきた。なかでも奇想の作品を中心に収集してきたプライス・コレクションから、若冲作品190点が2019年に日本へ里帰りを果たした。本書では、納入に至るまでの知られざるエピソードも振り返る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あーびん
23
この本の「鳥獣花木図屏風」表記が出光美術館蔵となっていたので(あれ?いつのまに?)と思っていたら、海外で有名な若冲コレクターのプライス夫妻からコレクションの売却を依頼されたのがまさにこの著者だった。クリスティーズのオークションを担当した後にプライベートセール専門になった著者ならではの、海外における日本美術のオークションや売買事情が興味深かった。廃仏毀釈で海外流出した多くの国宝レベルの日本美術品もいつかは日本に帰ってこられますように。2021/04/30
Mirror
15
アートは人を介さないとアートにならない こういう人がいるから私たちは観ることができるんですね。2021/08/18
乱読家 護る会支持!
3
美術品のプライベートセール(市場を通さない、売り手と買い手の直接取引)をされている著者が、伊藤若冲はじめ、奇想の日本画の人気の秘密を描いた本です。 僕は昨年末に滋賀のミホ・ミュージアムで若冲の絵を見ました。 著者の言われる通り、若冲の絵は、精緻さとユーモアが特徴です。同質、同調を求められ、権威主義が跋扈している日本社会において、若冲の独自性は、日本よりも海外で評価されたのでしょね。 関西で若冲の絵を所蔵しているのは、京都の福田美術館と相国寺美術館。行こうとしたのですが、コロナによる閉館で阻まれてきました。2021/08/06
愛理ちゃん88
3
出光美術館の英断です。若冲が里帰りできてよかった2021/06/20
k
3
オークションとかプライベートセールとか知らない世界のエピソードが語られ、楽しかった。若冲コレクターのプライス夫妻が、研究の貴重な資料になるからと工房作と疑われるようなものも集めている、というのもなるほどと感心した。「東西若冲番付」全部載せてほしかった。2021/06/11