リベラルなイスラーム - 自分らしくある宗教講義

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リベラルなイスラーム - 自分らしくある宗教講義

  • ISBN:9784766427134

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内容説明

現在進行形のイスラーム

時代が変わり、クルアーンの読み方も変わりつつある。ムスリムとして、一人一人が生きやすい社会をつくろうと奮闘する姿から、その最前線を見る。

なぜ男性が優位な社会なのか?
なぜ過激派はテロを起こすのか?
その根拠は、イスラームの聖典クルアーンにあるとされている。
しかし、新たな解釈を試み、男女平等やテロ抑制に取り組むムスリムたちも出てきている。
本書では、クルアーンという豊かなテクストを「リベラル」な解釈へと開き、変革を期す者たちに着目。
他者を認め、自分らしくあることを目指す「読み」の奥深さと、その実践を見ていく。

目次

ガイダンス
 1 この講義で話したいこと
 2 イスラーム教徒は危険?
 3 どうしてイスラームがリベラル?
 4 講義の目的と流れ

第1講 どうして聖典が重要なの?――クルアーンの力
 1 クルアーンの影響「力」とは?
 2 新しい解釈がなぜ必要なの?

第2講 クルアーンは戦争を命じている?――聖典の表と裏
 1 カンボジアでのムスリムの「闘い」
 2 宗教・聖典のなかの暴力・戦争
 3 クルアーンではなぜ戦争と平和が説かれている?
 ――ムハンマドの生涯から
 4 戦いを強調する解釈者たち

第3講 平和を説くムスリムって?――インドでの模索
 1 日本は平和の象徴的モデル?
 2 インドのムスリムとクルアーン解釈
 3 ワヒードゥッディーン・ハーンの思想と活動
 4 ハーンの平和主義・精神主義的クルアーン解釈

第4講 クルアーンはテロに反対している?――ムスリム国際NGOの挑戦
 1 モロッコ政府の反テロとクルアーン
 2 テロに立ち向かうムスリムNGO
 3 反テロを説く
 4 反テロ・平和を教える

第5講 女性は離婚を言い出せない?――宗教マイノリティと男女平等
 1 インドのボホラ派とエジプトのハーキム・モスク
 2 人権とイスラーム
 ――テロと男女差別の共通点
 3 アスガル・アリー・エンジニア
 ――インド・ムスリムの近代的改革
 4 モダニスト的クルアーン解釈

第6講 同性愛者は認められる?――英国紙ガーディアンのクルアーン解釈
 1 イースト・ロンドンのムスリムたち
 2 ズィアウッディン・サルダール
 ――イギリスのムスリム文化評論家
 3 ポストモダン時代のクルアーン解釈

最終講 リベラルなイスラーム――人類の共生する世界
 1 「リベラルなイスラーム」とクルアーン解釈
 2 他者と共に生きる世界をどうつくるか?
 ――アイデンティティの保ち方
 3 イスラーム主義の後にくる……かもしれないもの


講義を終えて――あとがきに代えて
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ドウ

4
書名に惹かれて読んだが、イスラーム教に内在する多文化共生の要素を炙り出すというよりは、マイノリティとして必然的に「共生せざるを得ない」インドやヨーロッパの事例ばかりで、解釈の手続きとしてアラブ人スンナ派が多数派の地域には受け入れられなさそうであり、かつ、根本的な論理が転倒している。つまり、イスラームはリベラルである、ではなく、ここで提示されたような解釈をするのがリベラルであり、他の解釈は多文化共生ができないという意味でリベラルではない、と示唆される。解釈の多様性というよりはアポリアを示した一冊。2021/03/29

Masayuki Shimura

2
【「イスラームは抑圧的にも自由主義的にも解釈され得ます。そして、解釈するのはムスリム自身です」ということが、この講義の基本姿勢となります】(文中より引用)・・・・・マスメディアではなかなかに取り上げられない地道な、それでいて重要極まりない宗教的な研鑚の数々を紹介した労作。一般的なイメージでは結びつかないであろうリベラルとイスラームが、「クルアーン」のどのような読み方を背景として手を携えるようになってきているのかがよくわかりました。2021/07/15

0
解釈の仕方によってイスラームのクルアーンとの付き合い方も変わってくる・・というのはなるほど、と思ったのだけど、ではムスリムがマジョリティの中東ではどのようにそのリベラリズムが浸透できるのか、ということは未解決で、難しいなと思った。エジプトのコンサートの事件なんかはけっこうショッキング。。(国家の体制や教育が変わらないとなかなか社会も変わらないだろう)2024/03/20

Meistersinger

0
すべてはクルアーンの解釈変更によると。2021/03/23

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