石橋湛山の65日

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石橋湛山の65日

  • 著者名:保阪正康【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 東洋経済新報社(2021/03発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784492061923

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内容説明

石橋湛山は首相としての在任期間がわずか65日である。近代日本史の上では最短に近い。しかし私は、「最短の在任、最大の業績」と思っている。これに対峙するのは「最長の在任、最小の事績」という言い方をしている。
石橋はわずかの期間だったが、言論人の時の自らの信念が政治の年賦に刻まれていると思えば、宰相の意味も変わってくるし、その重みも他の総理とは異なっている。最長の首相がさしたる事績が残さなかったとするならば、そこに比較しても首相の格の違いが浮き彫りになるだけではないだろうか。
石橋はその短い在任期間に、首相というのは日頃から思想や哲学を明確にしておくことの重要性を教えた。首相が何を目指し、どのような方向に、この国を率いていくのか、そのことを国民は知りたい。それは首相を目指す政治家が日頃から信念を発信する姿勢を持たなければならないように思う。石橋を真似せよ、と強調しておきたいのである。
──〈おわりに〉より

太平洋戦争の終戦から10年余の時を経た昭和31年、国内政治の民主化と自主外交を旗印にした石橋湛山政権が誕生した。だが、わずか65日の短命で終わる――。そして、日本は自主性なき外交の道を歩み出した。戦前・戦中から一貫して小日本主義、反ファシズムを唱え続けた反骨の言論人が、戦後、政治家の道を歩み、首相の座を降りるまでの激動の保守政治の史実を克明に描き、短命に終わった“まぼろしの政権”が日本人に投げかけた謎に迫るノンフィクション。新型コロナウイルスの未曾有の危機が立ち去った後、日本の前途は洋々たりと歩むために立ち返るべき、もう一つの戦後史!

目次

はじめに ある自由主義者の歩み
序 章  七票で決まった新総裁
第一章 戦後政治家としての出発点
第二章 反吉田への思想と軌跡
第三章 追放解除後の戦い
第四章 首相への道程、その政局
第五章 総裁選での勝利。そして挫折
終章 何ごとも運命だよ
おわりに 最短の在任、最大の業績
おわりに 最短の在任、最大の業績
資料[1] 第二十六回国会(常会)施政方針演説
資料[2] 首相辞任に関する書簡
石橋湛山略年譜
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

104
保阪さんは歴代63人の首相の中で石橋湛山は傑出した存在だという。在任期間がたった65日だったのに…。宇沢弘文先生も「石橋湛山のヒューマニズムを尊敬する」と書いておられたが、確かに、軍部に抵抗し、GHQにも堂々と反論する一貫した姿勢は、石橋湛山の人間性そのものである。関東大震災後「この経験を科学化せよ」と檄を飛ばしたような人物が現代のリーダーなら、コロナ禍への対応も違っていただろう。石橋内閣は日本が真っ当なリベラリズム国家として再生する最後のチャンスだった。それが65日で終わったことが、この国の歴史である。2021/07/24

KAZOO

98
私の好きなというか学生時代からその論文(全集を含め)を読んできた石橋湛山が首相になったときの状況を克明に書かれていて私は堪能しました。戦後にGHQからも期待されていたことも書かれています。三つの骨格(小日本主義、反ファシズムの平和主義、論理主義)が彼を支えていたということのようです。明治から63人の首相がいるということでABCランク分けすると戦後では吉田茂、石橋湛山、池田勇人、佐藤栄作がAランクだそうです。この本の副題(首相の格は任期にあらず!)が最近の首相と比較しているのは明らかでしょう。2023/07/02

KF

18
2021年初版。著者自身が出演する番組で紹介があり図書館で借りてきました。 主として昭和30年代初頭の65日間を前後の期間で補足。日数が長い分補足が圧倒的に長い。首相を務めたわけで「誰それ?」のはずはないのだが、在任期間が短過ぎ首相として果たした経歴となるととても乏しく、高校用の日本史の教科書でもとても扱いが少ない。過去の三つの幕府でも二代目頼家、義詮、秀忠の扱いが乏しいのと同様。 前後の吉田茂、岸信介については悪役扱いであり、この部分は読者の評価も別れ扱い憎いのかもしれない。 知る事が出来て良かった。2024/08/25

ジャズクラ本

15
○面白かったが苦言が二点。一点目はタイトルと内容に若干の齟齬があること。書名からは在任期間の事績を詳らかにするような印象をうけるが、政治家になってから首相に就くまでの内容が主である。但しこれは湛山の思想や55年体制に至るまでの趨勢が分かりやすく書かれているので良しとしよう。二点目は湛山の言葉を借りて著者自身の思想が見え隠れする点。言いたいことがあるなら保阪正康の名で主張すべきだと思う。ただ湛山にもっと長く首相をやらせてみたかったという点は同意する。こうなると半藤一利「戦う石橋湛山」も是非読まねばなるまい。2021/10/23

Hiroo Shimoda

15
現代でも通じる筋の通った主張。確かにもう少し長く政治の場にいればというのは分かる。著者の思い入れか、人としての裏、闇、歪などが見えないのは残念。2021/09/11

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