内容説明
ほほえみの背後に潜んだ血も凍る恐怖。絶妙のブラック・ユーモアで味つけされた奇妙な味の短編集――事業に失敗して病院に逃げこんだ男が退院してみると、妻はいきいきと働いていた。巨額の借金も返済したという。そんなとき、あの男とめぐり合った。あの男は妻の不貞を告げ、一緒に新商売をやろうと誘う。あの男の正体がやがてあばかれ……。ブラックユーモアで絶妙に味つけされた、才筆の掌篇秀作集。初期作品18篇を収録した処女短篇集。
目次
冷蔵庫より愛をこめて
趣味を持つ女
仮装パーティ
海藻
あやかしの樹
幸福通信
知らない旅
わたし食べる人
夜の真珠貝
エネルギーの法則
歌を忘れない鸚鵡
真実は強し
ギャンブル狂夫人
心の旅路
幽霊面会術
ホーム・スイート・ホーム
最後の配達人
恐怖の研究
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
93
面白かったです。阿刀田さんの処女短編集。奇妙な味わいの物語の数々は様々な感情を呼び起こしました。それだけ個性的で粒揃いの作品がおさめられているということですね。ブラックユーモアとショートミステリーの融合した世界観が好みです。2017/08/22
KAZOO
83
この作品集は阿刀田さんの処女短篇集なのですね。もう内容もすっかり忘れてしまっていますが後に読んだような感じの作品が出てきます。18編入っていてかなり楽しめます。サービス精神満載でかなり力が入っている作品が多く、余計な修飾もそぎ落とされていて阿刀田さんも若かったのだなあという感じがします。2015/07/28
saga
61
【再読】奥付は昭和58年第6刷。筒井康隆とともに著者の作品を高校生の頃に読んだ。あの頃の自分は短編を好んで読んでいた、というより好きな作家の作品に短編が多かったのだろう。そしてブラックユーモアを好きになるきっかけにもなった。本書の作品は、すべてが戦慄の結末で落とされている。「幸福通信」「最後の配達人」が印象深い。2020/11/07
そうたそ
42
★★★★☆ いわゆる「奇妙な味」といわれる作品を収めた阿刀田さんの処女短編集。処女作にしてこのクオリティは相当なもの。ざっくり言ってしまえば、「世にも奇妙な物語」にも似た雰囲気の物語が多数。ハートフルな結末のものはなく、ブラックなオチのものが多数占める。阿刀田さんの作品では「ナポレオン狂」と肩を並べる出来の名作ではないかと思う。背筋が凍ってしまうような結末が特徴的。星新一がSF寄りのショートショートを書いていたことからすれば、この作品はミステリ・サスペンス要素の強く、更には少し癖が強く万人には薦めにくい。2016/06/30
優希
37
再読です。阿刀田さんの処女短編集。ブラックユーモアでありながらホラーでもあると思いました。絶妙な味つけと色彩が様々な感情に反応します。面白かったです。2024/04/10