内容説明
2016年8月、中国は軍事・金融に不可欠な暗号通信技術を搭載した量子科学衛星「墨子」の打ち上げに成功。まだ米国も成し遂げていない快挙だった。宇宙開発技術でロシア、欧州、日本を抜き去った中国は、その実力を外交にも利用。多くの国が軍門に下る結果となっている。迎え撃つ覇者・米国の現状は? そして日本はどう動くのか? 第2次大戦後の宇宙開発の歴史を紐解きながら、「宇宙安保」の最前線に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
60
墨子;中国が2016年に打ち上げ成功した量子科学衛星。 名前が凄いw 宇宙開発躍進中 日本、出遅れてませんか2022/08/04
007 kazu
35
2016年中国は世界で唯一、地上との(絶対に破られない)量子暗号通信可能な衛星、墨子を打ち上げた。米国にとって21世紀のスプートニクショックともいえる出来事だ。それを可能にするのは中国が南米やアフリカに設置した地上局の存在があるが、かつての覇権国が「港」を抑えたのと同様、 中国は宇宙覇権における地上局の重要性を認識しているという。米対中ロ、中国の第三国におけるアプローチなど宇宙においても必然、国際政治状況を反映している点が興味深い。 エネルギー資源獲得は常時、ウクライナの情勢を挙げるまでもなく(続く)2022/11/14
inami
32
◉読書 ★3 連日報道されているロシアによるウクライナ侵攻の悲惨な状況を見るたび心が痛むのだが・・さて、本書は第二次世界大戦後から今日までの中国・米国・日本の宇宙開発と安全保障の歴史についてまとめたもの。中国は、2016年8月量子科学衛星(量子暗号通信)「墨子」を打ち上げ(2021年1月秘匿通信に成功)、19年1月には世界で初めて月の裏側に探査機を着陸させた。また、途上国との宇宙「協力」(支配と従属の関係)で巨大経済圏構想(一帯一路)の宇宙版も着々と進めている。隣人中国の宇宙戦略・開発は実に不気味だ。2022/04/15
kk
18
宇宙空間がこんだけリアルにきな臭くなってて、しかもこの分野でも中国の存在感が西側を凌駕しつつあるって実態、かなりショッキングです。著者の青木先生によれば、日本の関連技術も捨てたもんじゃないってことですが、我々はほんとうに正しい方向に進めているのかな? いろいろ考えさせられる一冊でした。2021/05/29
ののまる
6
ひやああああ。宇宙版日米同盟しないと、もうどうにもならん状態になっておるのか… 地上だけで考えていたらダメな時代にとうになっていた。アルテミス計画に入れて貰ってなかったら、中国側にも入れず、もう完全にやられているということ… 禁じ手だったのに中国の衛星爆破実験したのは知ってたけど、中国とロシアのストーカー衛星やら、もう宇宙戦争前夜だ。2024/03/27