歪んだ正義

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歪んだ正義

  • 著者名:大治朋子
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 毎日新聞出版(2021/03発売)
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  • ISBN:9784620326382

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内容説明

「自分は絶対に正しい」と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく。
テロリズム、学校襲撃、通り魔、コロナ禍に現れた「自粛警察」に共通する暴力のメカニズムを気鋭のジャーナリストが解き明かす。
本書は、「普通の人」がさまざまな経緯を経て 過激化へと突き進むにいたるその道のりを、 いわば体系的に地図化しようという試みだ。 過激性はどこから生まれ、どのように育つのか。 そうしたプロセスを可能な限り「見える化」することで、 個々人、あるいはその愛する人が過激化プロセスにあるのかどうか、 あるとすればどの位置にいるのかを認識し、 暗くて深い過激化トンネルへと落ちるのを防ぐ、 もしくは落ちたとしてもそこから引き返すために 手がかりとなる情報をまとめている。
2001年9月のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロリズムや「過激化」というと、イスラム教徒に視線が向けられやすくなった。だが、イスラム教徒が過激化しやすいとか、テロを起こしやすいというのは、最近の事件への印象が強いことによる思い込みに過ぎない。「過激化」は身近な現象で、実際には誰にでも起こりうるプロセスだ。過激化に伴う暴力は、日本でも日常的に起きている。古くは、オウム真理教事件であり、秋葉原トラック暴走事件(2008年6月)、相模原障害者施設殺傷事件(2016年7月)、新幹線殺傷事件(2018年6月)、川崎市多摩区登戸のバス停無差別殺人事件(2019年5月)、京都アニメーション放火殺人事件(2019年7月)など、ローンウルフ(一匹狼)型の凶行が目立っている。彼らはSNSを多用し、そこで過激化のプロセスを見せている。さらに今、新型コロナウイルス蔓延によって生じるストレスが高じて、世界中で特定の人種や市民への攻撃行動が起きている。身の回りで過激化する個人やグループに対して、私たちは何ができるのか。ワシントン特派員時代にアフガンでの従軍取材を経験し、テロ加害者と被害者が混在するエルサレムで支局長を務め、イスラエル随一の研究機関で学んだ敏腕記者が、テロリズムや過激化の問題の核心を突き止め、解決・防止策を提示する。

目次

第1章 「普通の人」が過激化する
第2章 テロ組織はいかに個人を過激化させるか
第3章 ローンウルフ2.0
第4章 「過激化プロセス」のモデル
第5章 誰にでもある心身のバランスシート
第6章 日本における過激化
第7章 過激化をいかに防ぐか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

1959のコールマン

73
☆5。必読本。ただタイトルと帯は変えた方が良い。正義についての本かな?と誤解を生む。「普通の人がなぜ攻撃的・過激になっていくのか、の心理的メカニズム分析+そして過激化をいかに防ぐか」がこの本のテーマ。正義がテーマじゃありません。ましてや本の帯の「『自分は絶対に正しい』と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく」は完全ミスリード。実際の本の内容は「自分が絶対に正しいと思い込むようになっても、そこから実際に凶暴化、過激化するには被害者意識など幾つかの条件が必要」となっている。苦言を呈したが、第4章、第5章は必読。2020/10/21

ヒデミン@もも

47
新聞社の特派員など社会経験を充分に積んだ後、イスラエルの大学に留学した著作の研究対象の一つであるテロリズムについては、私の知識不足と興味不足もあり難解。が、今、コロナ禍でも注目されている『正義』について、特に過激派組織に属さない個人がどのように『自己過激化』するかについては興味深い。日本の事例は、相模原殺傷事件、秋葉原事件、オウム真理教事件を取り上げでいる。3例共、家庭環境、親の育て方が加害者の性格に影響を与えたというのが、親としては辛い。ネット上のコミュニティが拡大する一方で現実的なコミュニティが減少。2020/09/13

naginoha

42
ごく普通の人がどういうプロセスを経て過激なテロ等に走るに至るかを検証する。面白い視点だと思ったので手に取ったけど少々残念な内容だった。まずイスラエルとパレスチナの関係性を語るのにイスラエルの資料ばっかり引用してるし。大学の論文なら集中砲火浴びそう。パレスチナ側の自爆テロした人はそりゃインタビューできないけれど、実は失恋が原因とかさ、色々机上でこねくり回して変な結論出してさ、そんなのイスラエルがパレスチナ占領やめたらテロ無くなるに決まってますよ。日本の無差別殺人と宗教テロを同列に扱うのも違和感。2/52021/10/11

よっち

40
テロリズム、学校襲撃、通り魔、コロナ禍に現れた「自粛警察」に共通する「歪んだ正義から」発生する暴力のメカニズムを、テロ加害者と被害者が混在するエルサレムで支局長を務めた著者が解き明かす一冊。現地での多くの取材から見えてくる、いわゆる「普通の人」が様々な経緯を経て過激化への道程を突き進んでしまう危険性には実感が伴っていて、強いストレスにさらされ続ける今の日本においても、その置き換えが歪んだ形で表出する今の状況はありますが、こういう時だからこそその意味を見極め、冷静に対処することの重要性を改めて痛感しました。2020/08/30

楽駿

38
品川図書館本。「あなたは自分がテロリストになりうると思いますか。」この問いかけに、私がそうであったように、自分はならない、と答えるのではないだろうか?けれど、そんな思いこそ、実はテロリストへの入り口に立っているのだ。職場にて、マスク警察やら、備品の盗難、モンスター化した客が、近頃かなり増加してきた。これもコロナの影響で、不確かな不安によるストレスによって、傷つけられた自我を、より弱い者や、低い位置にあると思う者にぶつける事で守ろうとしている。自分もなりうる事を自覚し、訓練するに最適な本。今こそ、お薦め!2020/10/20

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