角川新書<br> 家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ

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角川新書
家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ

  • 著者名:信田さよ子【著者】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • KADOKAWA(2021/03発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784040821030

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内容説明

最大の政治団体、家族と国家による暴力。
日々、私たちはそれに抵抗している。

家族は、以心伝心ではなく同床異夢。
DV、虐待、性犯罪。最も身近な「家族」ほど暴力的な存在はない。
イエは「国家のミニチュア」に陥りやすいのだ。その中で、私たちは日々格闘している。いわんや、被害の当事者は闘い続けている。
絶え間ない加害に対し、被害者がとる愛想笑いも自虐も、実はサバイバルを超えたレジスタンスなのだ。
エスケープでもサバイバルでも、レリジエンスでもない。
私たちはレジスタンスとして、加害者に後ろめたさを抱かせる――。

被害を認知することは服従ではなく抵抗だ
■家族は無法地帯である
■愛情交換という暴力
■家族における暴力の連鎖は権力による抑圧委譲
■報道では虐待だけが選ばれて強調される
■殴られれば、誰もがDV被害者と自覚するわけではない
■被害者は不幸の比較を犯してしまう
■父のDV目撃が息子をDV加害者に陥らせる
■被害者支援に加害者へのアプローチは必須だ
■彼らの暴力は否定するが人格は尊重する

【目次】
 まえがき――母の増殖が止まらない

第一部 家族という政治
 第一章 母と息子とナショナリズム
 第二章 家族は再生するのか――加害・被害の果てに
 第三章 DV支援と虐待支援のハレーション
 第四章 面前DVという用語が生んだもの
 第五章 「DV」という政治問題
 第六章 家族の構造改革

第二部 家族のレジスタンス
 第一章 被害者の不幸の比較をどう防ぐか
 第二章 加害者と被害者が出会う意味
 第三章 加害者アプローチこそ被害者支援
 第四章 レジリエンスからレジスタンへ
 第五章 心に砦を築きなおす

 あとがき
 主要参考文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テーブルジョークの得意な寺

85
この本は本人による信田さよ子入門にふさわしいと思う。この本から他の著書に進むとさらに理解が深まるだろう。私は著書の『〈性〉なる家族』を読んで、中村江里『戦争とトラウマ』に読み進めた(この本は本書にも登場)。生きるに良い世の中を作る為には、やはり良い政治が大事だろうな、と思う。2021/04/03

ネギっ子gen

62
【推薦】凄いタイトル名だが、読んでみるとタイトル名に納得。著者は、家族が以心伝心ではなく実態は同床異夢であり、もっとも身近な「家族」ほど暴力的な存在はないとする。そして、被害に対する強さ・しなやかさという意味合いでの“レジスタンス”の必要性を説き、<女性学の成果を吸収し、社会学の言説を駆使することで、初めて家族の暴力の構造が見える気がしたのである。こんなの自分だけでしょ、という極私的な経験が、国家の暴力(戦争や政治)と根底でつながっているとしたら……。そんな私のワクワク感が執筆を駆動した本体である>と。⇒2022/08/22

おたま

41
信田さんは、公認心理士・臨床心理士としてカウンセリングの最前線で活動されてきた方。この本は、著者がこの10年間程で気づいたこと、考えたことをまとめたもの。記述が多方面にわたっており、また、自らがパラダイムシフトしたことが多く書かれているために、一度読んだだけではなかなか理解しにくい。私たちは、常識的な(ドミナントな)家族観(夫婦は仲良く、妻は夫を助け、子どもは可愛がられる等々)に取り込まれているために、例えば虐待やDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)は、無かった、あるいは「殴られて当然」⇒2022/07/11

空猫

41
対成人女性の場合、自ら「被害者」だと認識する事は少ない。子供への虐待は完全に加害者が「悪」だが、女性の場合被害者も悪いとされてしまう。子供への虐待でも実際の暴力が夫であれ母までいや母の方が責められる。母も暴力の被害者であるにも関わらず。如何なる場合にも「暴力」があった場合100%加害者が悪いのだという認識がもっと浸透されていいはずだ。結局女性の人権の低さと弱い者いじめが根本にあった。 震災後の混乱中にも五輪を推し進め、コロナ禍でも開催するその傲慢さは、弱者への無関心、非対応さへも繋がるのだ。2022/02/12

速読おやじ

32
タイトルが刺激的だ。近代家族のあるべき姿を国家が推奨する時、そこから外れる物語はなかったことにされるのか。DVのケースで加害者が夫の場合に、被害者である妻にも落ち度があったのではないかとされるのがそれだ。ひょっとして自分の中にも無意識のバイアスがあるのかもしれない。太平洋戦争で精神病棟に入れられた多くの兵士が無かったことにされているらしい。帝国軍人にあるまじきとした国家観に反していたからだ。その当時のカルテが戦後焼却するようにとの命令もあったとか。私が思い浮かべる理想の家族像は国家からの借り物なのかも。。2024/01/09

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