内容説明
日本史上「最大の合戦」を三十年のタイムスパンで読み解く。
秀吉の晩年から会津征伐、関ヶ原本戦、東北・九州の戦い、豊臣家滅亡まで──
関ヶ原合戦(一六〇〇年)はわずか半日で終結した戦いだが、この戦の遠因は、本能寺の変(一五八二年)を経て秀吉時代になって以降の、独裁体制のひずみと諸将間の確執、各大名家の家中問題にあった。
本書では、秀吉の晩年から、五大老五奉行による政権運営時代、会津征伐、関ヶ原本戦、東北・九州の戦い、家康による戦後処理、豊臣家滅亡による「関ヶ原体制」の終焉(一六一五年)までの実態を、良質な一次史料と最新研究を用いて解明。
後世の編纂物などの二次史料に影響されがちな関ヶ原合戦史を訂正し、今語りうる史実の全体像をつまびらかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
14
一次史料の解読による戦国史研究の成果を広く世に問う、著者曰く「一般書」である。本能寺の変から、朝鮮侵攻、関ヶ原合戦から大坂の陣直前に亘る30年を俯瞰した、最新の研究成果を多数利用した大部の著作である。秀吉の晩年から七将襲撃、そして関ケ原合戦と戦後処理。「二重公儀体制」の終焉と、ここまで一連の時代として大きく捉えた一般書はなかったと言える。「雄渾」ただ、その一言に尽きる著書である。ここ三十年弱で急激に変化した、関ケ原とその時代研究は此処まで嘗てとは変わった。と、読者に痛感させる。勉強は怠ってはいかんのだね。2021/03/23
スプリント
13
関ケ原の戦いに至る政治的な駆け引きや 東北や九州の動向なども触れられているので知識欲が満たされます。2022/06/12
Abercrombie
6
一次史料(なるべく)と先行研究を拠に考察する、関ケ原の戦いの始まりからその後まで。「七将による三成襲撃はなかった」、「直江状は偽書」、「家康と輝元は決戦前日に和睦していた」等々、最新研究により明らかとなった真相の数々には驚くばかり。2023/07/04
八雲
5
多大なる良質な一次資料に拠った今までにない読み応えある一冊。 ただ、一次資料とはいえ鵜呑みにしないところがいい。 小山評定はなかった。 直江状の真偽について。 毛利、宇喜多、島津が抱える家中問題。 伊勢、北陸、岐阜や大津などの諸将の関ヶ原への道のり。 「西軍」、「東軍」という呼称じゃなかった。 合戦の前日に家康と輝元が和睦を結んでいたなど、知らなかったことなどもたくさんあってとっても面白く読めた。 2021/06/22
T F
5
戦前の政治状況、東北や九州の展開、戦後処理まで俯瞰的に関ケ原合戦を理解することができる。本書では触れられていなかったが、秀吉は家康にどこまで託したのだろうか。自分の織田家への扱いを顧みるなら、秀頼の行く末も想像がつくはずで、どれだけ大老、奉行間で誓約をさせたところで徳川の天下は既定路線だとあきらめたりはしなかったのだろうか。2021/04/02