内容説明
影はすべての人間にあり、ときに大きく、ときに小さく濃淡の度合を変化させながら付き従ってくる。それは「もう一人の私」ともいうべき意識下の自分と見ることができる。影である無意識は、しばしば意識を裏切る。自我の意図する方向とは逆に作用し自我との厳しい対決をせまる。心の影の自覚は自分自身にとってのみならず、人間関係においてもきわめて重要である。刺激に満ちた万人必携の名著。
目次
1 影
1.影のイメージ
2.ユングの「影」概念
3.影の種々相
2 影の病い
1.二重身
2.二重人格
3.夢の中の二重身
3 影の世界
1.暗黒
2.不可視の影
3.地下の世界
4 影の逆説
1.道化
2.トリックスター
3.ストレンジャー
5 影との対決
1.自我と影
2.影との対話
3.影と創造性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
116
久しぶりに河合隼雄さんの本を読みたいと思って読んでみた。影についての考察が深く考えさせられる内容であった。河合隼雄さんは影について患者さんの夢から考察したり文豪の小説から分析をしていた。とくに患者さんの夢からの考察が深かった。影についてとかいてあるためわかりにくいという人であればあえて他に例えるならスターウォーズのダークサイドと言い換えればわかりやすいかもしれない。影が本体で私達が影かもしれないという考察は怖くなるようだが当たっている気がする。影と光のバランスが大事なのかなと感じたのである!2022/08/28
Gotoran
39
著者自身の臨床心理家としての体験を交えながらの本書、非常に親しみやすく、読み易かった。ユング心理学における元型、その中の影に焦点を当て東西の神話・民話、文芸作品、社会現象、クライアントの体験した夢を自在に引いての『影の現象学』についての考察・論考。影或いは無意識とうまく付き合っていくことで、むやみやたらに漠然と人生を送らないためにも、創造性という宝物が見つかるかも知れない。自分発見の旅(人生)を良くするためにも、影のプラスの面を引き出したいものだ。2013/05/03
ばんだねいっぺい
33
村上春樹を読んで、あ、影の現象学を読みたいなぁと再読。こんなこと書いてあったっけとふむふむと読書。影との対話は、簡単ではないからこそ、創造的で面白いと捉えていく必要がある。普遍的な影の投影は、やってるな。頻繁に。2023/04/16
フユコ
32
夢の話が多かったです。2022/08/07
riviere(りびえーる)
28
前から読みたかった本をやっと読了。面白かった。本当はすべて著者の心理療法のケースで書きたかったようだが、それは不可能であるからケースとともに古今東西の神話・文学・童話・昔話などを引用して影について説明している。そのことが専門家向けにならず、著者の言うトリックスターとして機能し、ジャンルを超えて縦横無尽に論じているようで面白い。第5章 影との対決で引用している物語、どこかで聞いたことがあると思ったら「戦場のメリークリスマス」の原作だった。2020/05/17
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