内容説明
さらし首の名所だった「暗闇坂」にそそり立つ樹齢二千年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだのか。近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とは。とうてい信じられない怪事件に名探偵・御手洗潔が敢然と挑む。しかしながら真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めるものだった。本格ミステリーの巨匠が精力を注いだ大傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
67
この作品から御手洗潔は新たなフィールドへと活躍の場を移す。 それは海外へと出向くことであり、トリックよりはおどろおどろしい雰囲気を重視したミステリ。 表紙の画だけでも実に不気味。 少女が楠の大木の枝に取り込まれているという図。 犯人の執念がこの犯罪を成し遂げる、と同時に手記によってすべてを終わらせようとする締めも、何とも嫌な雰囲気で終わらせる。2023/07/18
Y2K☮
38
なかなかに凄惨。直視し難い部分もあった。だがそういう歴史が存在することを普段は忘れていていいから、記憶の奥底にそっとしまっておきたい。受け手への配慮も大事だけど、タブー視してなかったことにする方がたぶん罪深いから。そして相も変わらず多種多様な角度から繰り出される謎の提示及びその解明プロセス。著者の本格ミステリィには人間そのものや芸術全般に関する深い造詣が詰まっている。ゆえにこそ探偵・御手洗潔が持つ現実離れした万能性と頭の回転の速さが不自然とは映らない。現にこんな大作を創れる島田荘司が実在するのだから、と。2023/06/05
yumiha
36
江戸時代に牢と刑場があり晒し首の名所(?)だったという暗闇坂、ググってみたら実在していた。怖がりの私は近寄りたくない。苦手のホラー混じりに残虐そのものの場面多々なので、語り手石岡の震える様子に共感しながら読み進む。いつもぶっ飛んでいる島田作品のトリックは、はなっから予想なんて無駄なことは致しませぬ。さて『アトポス』で知った松崎レオナが初登場するのが本書。おどろおどろしい一族に生まれ育ったわりにはまともだし、嫌味まじりの御手洗とのやり取りに食い下がっていく様子から知的なタイプと見た。2026/03/20
キナコ
36
あまりの面白さに後半一気読み。700ページ越えの長篇ミステリー。人を食べるとの謂れがある大楠を中心として起こる連続殺人事件。死体の描写も生々しいため、グロさが苦手な人は注意が必要。殺人には予想のつかないことが起こるとはいうが…人によっては邪道になりそうな感じのトリックかな。最後の犯人の手記に書かれた運命に翻弄された犯人の心情が悲しすぎる。 御手洗シリーズの四番目らしいが、シリーズの途中からでも楽しめた。シリーズの他の巻も楽しみ!2023/12/16
糸巻
29
面白かった〜!でも700ページ越えは長かった〜!かつて処刑場だった暗闇坂上にある樹齢も古い巨木・大楠は、本当に人を喰らうのか?同敷地内に建つ洋館の屋根の上に跨った状態でこの家の息子が死亡、大楠の根元で母親が瀕死の重傷を負う事件が発生し現場に向かう御手洗&石岡。遺族や刑事との交渉が成功し屋敷内で調査を始めるが、建物から大楠から何まで不気味な事情をはらんでいた。西洋の処刑の歴史とかそんな必要か?とかこのトリックこの間読んだやつに似てるな?とか気になる部分はあったけど、今はこの長編を読み切った自分お疲れ。2025/07/31




