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内容説明
神経症や分裂病のような心の病はどうして起きるのか。又、人はなぜナチスのような恐ろしい思想の虜になるのか。さらに、錬金術の本に描かれた不思議な絵は何を意味しているのか。本書は不思議な心の現象について、ユング心理学の眼を通して解明する。「心的エネルギー論」では、精神病とは心的エネルギーが無意識の中へおいやられ、空回りしている状態だという。すなわち治療とは、心的エネルギーの自然な流れを戻すことである。又、分裂病というのは元型的イメージが強く、自我が乗っ取られてしまった状態であるという。それらの分析は、ユング自身が分裂病的体験と闘う中で発見した独自の理論である。さらにユングはナチスのような妄想に人々が熱狂するのは、人間が持つ元型的イメージのなせる業であるという。それらの深い洞察は、精神的な病理を抱える現代人の魂に、希望と救いをもたらしてゆく。どの解説書よりもわかりやすいと好評のシリーズ完結編である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かわかみ
4
良くも悪しくも著者のキャラが立った三部作の最終巻である。無意識に押し込めた自分の性質や傾向を意識化して再統合することが自己の成長となる「個性化」であり、ユングの思想の目指すところというのは理解できる。しかし、その真実の個性がなお普遍的な価値を体現していなければならないと言った時に、「集合的意識」と普遍的価値とをどう区別するのだろうか。ここらへんは言葉で示せる範囲を超えているのだろうか。ユングのナチズム分析はフロムやドラッカーより自分には理解しやすい。ワイマール的現代日本文化の評価も陳腐化していない。2024/05/22
うえ
3
「小俣氏の『精神医学とナチズム』…この本は、ほとんどなんの根拠も示さずに、ユングがナチスに加担したと結露づけている。表紙にはユングのマンダラを使って、その中心にナチスの鉤十字を張りつけてある…ナチスと同じ感情的な宣伝である…ユングのナチス論は…なぜナチスのようなものが出てきてしまったのかを解明する議論なのである。だから冷静だし、客観的だし、あまりナチスを非難していないと感じられる…ナチスを道徳的に非難したい人から見ると、ユングの言っていることは物足りない、ナチスに対する批判が足りないと感じてしまう」2022/07/23
monakamonnie
2
2冊目とほぼ同じ。 先の一冊からすると、ますますユングの説なのか本人の話なのかが混乱してくる。その語りの部分がおもしろいからこれで行こうと編集が推したらしいが、冊数を増やすための意図じゃないのかとおもえてしまう。結局、肝心のユング説は?があまり残らない。2023/01/07
Arnold
2
終わりから初めに向かって読んだら、ほぼ全部読めた。解説がわかりやすいです。ゲド戦記の影が襲ってきて怖いこと、その影と合体することを初めて知った。読みやすいので夢中になって読了。2022/04/05
銀鈴
1
1.2巻は解説が分かりやすかったのだけど、この巻は「筆者の主張」が目立った印象。この方、自分と意見がちがう人に対して攻撃的になる傾向がある?? ナチスの話より共時性の話が読みたかったな。2021/09/06




