内容説明
個人がアイデンティティを求めるようになり宗教画の他に肖像画も発達した15世紀。細密な写実描写と油彩による輝かしい色彩表現が特徴のフランドル絵画の中でも、内なる感情に訴えるウェイデンの絵画は特に人気があった。緻密な作品解説と周辺の画家との影響関係によって、日本では未だ知られざる初期フランドル派巨匠の魅力に迫る。
目次
はじめに
第1章 謎の前半生
一 画家の素顔
二 トゥルネのカンパン工房
三 「二人のロヒール」をめぐって
第2章 トゥルネ時代(一四二七~三五年頃)
一 対幅画ないし両面画
二 受胎告知の三連画
三 十字架降下
第3章 初期ブリュッセル時代(一四三五~四〇年頃)
一 都市の画家
二 聖母画の諸相
三 聖フベルトゥスの二連画
四 市庁舎の正義図
第4章 中期ブリュッセル時代(一四四〇年代)
一 アーチ枠の活用
二 中期の磔刑画
三 聖会話画の断片
四 ボーヌの祭壇画
第5章 聖年のローマ巡礼
一 ローマ巡礼
二 その成果
第6章 後期ブリュッセル時代(一四五〇~六四年)
一 優美様式の確立
二 聖ヨハネ祭壇画
三 晩年の磔刑画
第7章 肖像画と半身聖母画
一 単身肖像画
二 半身聖母画
三 対幅祈祷肖像画
第8章 工房作品と後継者たち
一 真筆か工房作品か
二 後継者たち
註
参考文献
ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン年譜
あとがき
掲載図版一覧
索 引