民主主義の「危機」 - 国際比較調査からみる市民意識

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民主主義の「危機」 - 国際比較調査からみる市民意識

  • 著者名:田辺俊介
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  • 勁草書房(2021/03発売)
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  • ISBN:9784326653904

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内容説明

民主主義の「危機」が喧伝される現在。世界30ヵ国以上の調査データの詳細な国際比較分析をもとに、民主主義からの逸脱とみなされる諸問題の再評価を行う。各国の個別状況にとらわれず、同時に過度な抽象論に陥らない視座から、民主主義の「危機」論の虚実を暴くとともに、安易に「危機」をあおる論調へ警鐘を鳴らす。

目次

はじめに

序章 民主主義の「危機」を把握するために[田辺俊介・荒牧央]
 1 民主主義は「危機」に陥っているのか
 2 国際比較による「危機」の把握
 3 ISSP(国際社会調査プログラム)による検討
 4 本書で検討する「危機」

第I部 民主主義のクエスチョン

第一章 若者は本当に政治に無関心なのか?──私生活主義モデルから齢間分業モデルへ[高橋征仁]
 1 「若者の政治的無関心」は本当か?
 2 政治的関心の操作化と説明要因
 3 「若者の政治的無関心」をめぐる虚実
 4 「若者の政治的無関心」に関する齢間分業モデル

第二章 シティズンシップは涵養できるのか?──学校教育と社会的学習の効果[佐藤智子]
 1 シティズンシップと教育
 2 何が能動的シティズンシップを向上させるのか?
 3 効果的なシティズンシップ教育に向けて

第三章 誰が民主政治に参加しないのか?──教育が投票に与える影響[荻野亮吾]
 1 「参加のパズル」──教育と政治参加のジレンマ
 2 「投票参加」に関する研究と仮説
 3 教育は投票を促進するのか?
 4 教育の政治的意義

第四章 誰が支持する政党を持たないのか?──価値意識が政党支持に与える影響[田辺俊介]
 1 無党派層の増大と政党不信
 2 政党支持に関する諸研究
 3 無党派と価値意識
 4 無党派になる要因は何か?
 5 民主主義と無党派化

第五章 誰がデモに参加するのか?──デモは市民的活動か、感情的行動か[朝岡誠]
 1 デモ活動の二つの側面──市民活動としての側面と暴力行為としての側面
 2 デモ活動に関する先行研究の整理
 3 デモ活動を促進する要因とは?──ISSPデータを使う
 4 デモ活動の規定因
 5 二つの社会におけるデモ活動像

第II部 民主主義のジレンマ

第六章 「大きな政府」か「小さな政府」か?──福祉国家とネオリベラリズムをめぐる日本人の意識[丸山真央]
 1 ポスト福祉国家の正統性をめぐる問い
 2 福祉国家の後退をめぐる世論の研究
 3 ネオリベラリズムの重層性
 4 福祉国家/ネオリベラリズムへの支持と社会的亀裂
 5 世論からみた日本の福祉レジーム上の位置

第七章 自由か安全か?──テロの脅威のなかでどのような国が自由規制を支持するのか[阪口祐介]
 1 テロの脅威と自由の規制
 2 いかなる国で安全のための自由規制が支持されるのか
 3 テロリスクに対する自由規制の支持と各種独立変数の操作化
 4 自由規制を容認する要因は何か
 5 安全と自由のトレードオフ?

第八章 グローバルかナショナルか?──グローバル化に対する脅威認知の規定要因[濱田国佑]
 1 グローバル化する日本と世界
 2 「グローバル化」および「脅威」に関する先行研究
 3 「認識された脅威」の指標に関する検討
 4 「脅威」の規定要因
 5 社会的に分断されるグローバル化の認知

第九章 多文化主義か同化主義か?──多文化主義の市民的徳性への影響の国際比較[永吉希久子]
 1 「多文化主義闘争」の第二の前線
 2 多文化主義と市民的徳性の関連
 3 ISSPデータの概要と変数の操作化
 4 多文化主義政策は市民的徳性を低下させるか
 5 民主主義の基盤としての多文化主義政策

ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

魚京童!

15
危機を煽るのは、扇動者か先導者しない。民主主義最高!って言ってるけど、本当?その前提がいま揺らいでいるのに、危ない!って言っても私は話を信じない。地球が平らなのに、丸いって言い張ってるのと同じだ。本当の真実を知って初めて、議論ができる。この人とは議論ができない。ただの平行線だ。2022/03/24

かもろうる

0
今、日本で起こっている政治的な社会問題、投票率の低下、若者の関心の低下などは日本に限った問題ではなく、要因は別にあるとしても同じようなケースが他国にも存在しているという点にある。日本のメディア媒体のみではどうしても日本のみの特殊なケースとし捉えてしまうことになってしまう傾向がある。日本の民主主義ではなく、世界を通して民主主義の「危機」の内容を学ぶことができたのではないかと思われる。批評としてはISSPに基づく評論になっており、各章に若干やや飛躍で無理がある仮説、結論は多く見られた。2016/11/28

Toshi_S s2

0
政治参加、市民的徳性、支持政党、グローバリゼーション、テロの脅威など民主主義の興隆/衰退にかかわるトピックを取り上げ、実証的なアプローチを試みた書物。1冊全体が「民主主義」というテーマで統一されているが、各章の内容は独立しているので、自身の興味に沿って読んでいけばいいだろう。比較計量研究なので日本のみならず、他の国の事情についても学ぶことができる。国レベルのマクロなデータの扱い方など参考になる点が多い。2015/03/26

抹茶ケーキ

0
社会意識の計量分析。テーマは学校教育と市民意識、テロ脅威と市民意識、グローバル化の脅威認知など。個別の分析は面白い。ただどんな計量分析にもつきまとう課題だけど、分析と結論の間には飛躍があるのではと思った。2017/12/04

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