ディープ・アクティブラーニング - 大学授業を深化させるために

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ディープ・アクティブラーニング - 大学授業を深化させるために

  • ISBN:9784326251018

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内容説明

大学教育における「教育から学習への転換」の鍵として、近年アクティブラーニングが注目される。しかし重要なのは、学習形態に重点をおく単なるアクティブラーニングではなく、学習の質や内容を問うディープなアクティブラーニングである。ディープ・アクティブラーニングを生じさせるカリキュラム、授業、評価、学習環境を詳細に検討する。

目次

プロローグ

序 章 ディープ・アクティブラーニングヘの誘い 松下佳代
1. アクティブラーニングとは
2. アクティブラーニングの抱える問題
3. 知識と活動の関係
4. 「深さ」の系譜
5. 各章へのイントロダクション

第I部 ディープ・アクティブラーニングの理論的基盤
第1章 【アクティブラーニングの現在】
アクティブラーニング論から見たディープ・アクティブラーニング 溝上慎一
1. アクティブラーニングとは?
2. アクティブラーニングの質を高めるための実践的動向
3. どこでディープ・アクティブラーニングが必然となるか
コラム 反転授業 ―知識理解と連動したアクティブラーニングのための授業枠組み― 森朋子

第2章 【学生の関与の重要性】
関与の条件 ―大学授業への学生の関与を理解し促すということ― エリザベス・F・バークレー
1. 「学生の関与」という言葉を定義する
2. 関与と動機づけ
3. 関与とアクティブラーニング
4. 深い関与を促す3つの条件
5. 結論

第3章 【学習対象へのフォーカス】
学習の教授学理論に向けて フェレンス・マルトン
1. 学習対象のバリエーションの重要性
2. 学習と識別
3. バリエーションと同時性
4. 学習対象と学習空間
5. 学生の学習にとって本質的なものは何か
6. 条件間の差異と個人間の差異
7. 学習を可能にするもの
8. 学習のバリエーション理論

第4章 【協同学習と学生の成長】
協同による活動性の高い授業づくり ―深い変化成長を実感できる授業をめざして― 安永悟
1. 協同学習の理論
2. 協同学習の技法
3. 協同学習の効果と評価
4. LTD話し合い学習法を活用した授業づくり
5. 深い変化成長を実感できる授業をめざして

第II部 さまざまなフィールドでの試み
第5章 【初修物理学】
理解か、暗記か? ―私たちは正しいことを教えているのか― エリック・マズール
1. 初修物理学教育の問題点
2. ピア・インストラクション―授業のなかで学生に思考させる―
3. 結果
4. 講義を古い形式から新しい形式に変える
5. 結論

第6章 【哲学】
コンセプトマップを使った深い学習 ―哲学系入門科目での試み― 田口真奈・松下佳代
1. 取り組みの背景
2. 深い学習とコンセプトマップ
3. コンセプトマップを使った授業のデザイン
4. コンセプトマップの学習ツールとしての意義
5. 評価ツールとしてのコンセプトマップ
6. コンセプトマップの評価のためのルーブリックの開発
7. ディープ・アクティブラーニングのためのツールとしてのコンセプトマップの有効性

第7章 【教員養成】
意味のある学習を意識した授業デザイン ―教師としての素養を学び磨くというストーリー― 関田一彦・三津村正和
1. 実践編―教職科目「教育方法」における取り組み―
2. 検証編―授業を振り返る―
3. むすび

第8章 【歯学】
教室と現場をつなぐPBL ―学習としての評価を中心に― 小野和宏・松下佳代
1. 2つのPBL
2. PBLの実践
3. PBLに対する学生の認識
4. PBLにおける学習成果の評価
5. ディープ・アクティブラーニングを目指して

第9章 【リーダーシップ教育】
新しいリーダーシップ教育とディープ・アクティブラーニング 日向野幹也
1. 新しいリーダーシップとは何か
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しょうゆ

3
教育の形が洗練され、形を変えてゆく。何か今のままでは難しいけど、新しい方法と言われるアクティブ・ラーニングも本当に学習方法として定着しているのか。そんな疑問を自分も感じていたのだが、同じ出発点を共有して議論が展開するのでワクワクとした。特に後半は様々な領域での取り組みが紹介されて面白かった。最終的には、自分が教える分野と教えられる学生の特徴を鑑みて、何ができるのかを編み出していかないといけないのかなという結論に至ったのだが、少し自分の考えていた疑問を他の多くの人たちも持っていると知り心強くも感じた。2024/12/21

ぴーたん

2
専門書にしてはかなり読みやすいです。私が大学生の頃は、大教室で学生が聴いていようがいまいがひたすら講義するスタイルしか無かったような気がする。でも時代は変わり、この本の著者たちもそれでは立ち行かなくなり教えることがとても大変になったとのこと。一斉授業がダメなら学生にグループワークをさせて体験中心にすれば良いかというとそんなことはないらしい。とにかく授業することが年々難しくなり、高度な学びとスキルがなければその資格はないかもと感じるようになり、多くの人が同じような危機感を持っていることが分かりました。2017/12/19

良家栄

1
自らの学習法に疑問符が付いたので、根底から見つめ直すために読んでみた。 教職課程に身を置いているのなら得るものは大きいと思う。 所々、掻い摘んで社会人でも応用出来そうなところはあった。2021/10/23

KOU

1
アクティブ・ラーニングが教育界で叫ばれ始めて何年がたっただろう。その間に、簡易的にグループで活動さえしていればアクティブ・ラーニングだという考えが出てきていたように思う。そんな中、真にアクティブであるためには、ディープでなくてはいけない、という著者の考えに共感。小学生から大人までいかにしてディープにアクティブ・ラーニングを行うか、教員には必読の本ではないだろうか。2018/06/01

Takashi Inoue

1
以下自分用メモ。でもたくさんあって書けない。 アクティブラーニング型授業が普及するほど、学習や学生生活に対する学生の受け身の姿勢が強まる皮肉な結果になっている。 「深い」=中心となる考えを理解する、関連付ける、論じる、説明する、身近な問題に適用する、原理と関連づける、仮説を立てる、離れた問題に適用する 「『私は学生に教えたのに、学生が学ばなかっただけだ』と言うのは、『私は客に車を売ったのに、客は車を買わなかった』と言うのと同じだ」 協働教育は、自立的学習者の育成にこそ、その目指すべき目標がある 2016/07/14

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