内容説明
本書は、「棚田」の歴史や取り巻く民俗、地理的環境とそれに対する人々の工夫や技術などの実態を明らかにし、生態学や経済学、農業土木学や、農政学などの成果をあわせて、「棚田」の現代的意義の解明と「棚田」の継承に向けて各方面の英知と熱意を集めたものである。広く「棚田」に関心のある方々に、現実的な「棚田」保全を啓蒙する。
目次
序文[中島峰広]
本書の構成について[編集委員会]
第1部 基礎編
第1講 棚田とはなにか[志田麻由子]
1.お米をつくる田んぼ
2.棚田の分布
3.棚田の特性
4.棚田の保全
第2講 棚田の歴史[水野章二]
1.棚田のはじまり
2.棚田の展開
3.放棄と再評価
第3講 棚田と民俗[小川直之]
1.「棚田民俗学」の視点と方法
2.棚田の技と知恵――畦畔と灌漑水
3.稲作と米の精神性
4.稲作地帯の生活文化――稲作と焼畑の文化
第4講 棚田での稲作[山本早苗]
1.棚田に生きる人々
2.棚田における水利用の知恵と工夫
3.水を守る組織
4.断絶を乗り越えて復元した棚田
第5講 棚田の生産性[内川義行]
1.生産性の指標
2.棚田の土地生産性
3.棚田の労働生産性
4.棚田の整備
第6講 棚田と生物多様性[大澤啓志]
1.原生自然と二次的自然
2.農村の生物多様性
3.生物の生育・生息環境としての棚田の構成要素
4.棚田の生物多様性を脅かすもの
第7講 棚田がまもる[堀口健治]
1.農地・農村が発揮する多面的機能
2.中山間地域が支える多面的機能
3.棚田がまもる多面的機能
第8講 共生の場としての棚田[浅田大輔]
1.棚田からの恵み
2.棚田で学ぶ
3.棚田の役割の変化――人間活動の変化と棚田への関わり
4.棚田は誰のものか――これからの棚田保全活動への期待
第9講 棚田と里山[五十嵐勉]
1.里山と棚田の関係性
2.佐賀県唐津市「蕨野の棚田」に見る棚田と里山の関係性
3.棚田と里山――その保全の未来に向けて
第10講 棚田と景観[山路永司]
1.棚田の景観要素
2.棚田景観の評価
3.棚田の文学的評価
4.棚田景観の金銭的評価
5.棚田の景観整備
第2部 応用編
第11講 棚田地域の課題[神田竜也]
1.中山間地域と集落
2.中山間地域の土地利用問題
3.中山間地域への支援
4.中山間地域の可能性と課題
第12講 棚田をまもる[岡島賢治]
1.棚田の維持管理
2.棚田の被害と修復
3.棚田法面と補修
4.耕作放棄と対策
第13講 棚田で遊ぶ[堀田恭子]
1.遊びの社会学
2.日常から非日常へ
3.遊びの先に見えてくること
4.非日常から日常へ
第14講 棚田の顕彰[本中眞]
1.棚田の多様な価値を継承するための施策
2.各地における棚田の顕彰の事業
3.名勝姨捨(田毎の月)としての棚田の保護施策
4.文化的景観の保護制度と棚田
第15講 世界の棚田と顕彰[菊池真純]
1.棚田の分布と著名な棚田
2.世界遺産の棚田
3.世界農業遺産としての棚田およびその地域
付録
1.日本の棚田百選
2.重要文化的景観
3.棚田オーナー制度
4.全国棚田(千枚田)連絡協議会
5.NPO法人棚田ネットワーク
6.世界農業遺産7
あとがき
索引
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壱萬参仟縁
だいきち