時間にとって十全なこの世界 - 現在主義の哲学とその可能性

個数:1
紙書籍版価格
¥4,950
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

時間にとって十全なこの世界 - 現在主義の哲学とその可能性

  • 著者名:佐金武
  • 価格 ¥4,950(本体¥4,500)
  • 勁草書房(2021/03発売)
  • 初夏を満喫!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン (~5/18)
  • ポイント 1,125pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326102426

ファイル: /

内容説明

現在存在するものと、そのかつてのあり方、今のあり方、そしてこれからのあり方が実在のすべてだとする現在主義の立場から、時間の本性の探求に新たな視座を与える。現代の時間論の出発点であるマクタガードの議論から説き起こし、現在主義に対する批判に応えつつ、その利点をも明らかにする。時間の謎に魅了されるすべての人へ!

目次

序論

第1章 現代時間論のバトルライン
  1.1 マクタガートの遺産
    1.1.1 時間の二分法
    1.1.2 時間の非実在性
  1.2 マクタガートに対してどのように応答するべきか
  1.3 現在主義のプログラム
    1.3.1 現在の特権性
    1.3.2 変化の実在性

第2章 ソクラテスについての真理
  2.1 基礎づけの問題
    2.1.1 TM原理と存在スーパーヴィーニエンス
    2.1.2 過去の独立性
  2.2 基礎づけの原理を疑う
  2.3 現在存在するものについての過去言明
    2.3.1 検証主義
    2.3.2 ルクレティウス主義
    2.3.3 時間的な分布性質
    2.3.4 代用B-系列
    2.3.5 時制化された例化
    2.3.6 診断
  2.4 もはや存在しないものについての一般言明
  2.5 もはや存在しないものについての単称言明
    2.5.1 マイノング主義とこのもの主義
    2.5.2 単称命題の存在
    2.5.3 現在主義の存在論

第3章 失われた今を求めて
  3.1 特殊相対性理論からの批判
    3.1.1 同時性の相対性
    3.1.2 現在主義の相対化と実在の推移性
    3.1.3 特権的な観察者不在の原理
  3.2 特殊相対性理論と絶対的同時性
    3.2.1 絶対的同時性
    3.2.2 反論1:光学的同時性と検証主義
    3.2.3 反論2:理論の完全性
    3.2.4 反論3:理論の存在論的コミットメント
  3.3 科学と形而上学

第4章 時間の経過
  4.1 時間の経過
    4.1.1 言明の真理値における変化
    4.1.2 時間はなぜ時制を必要とするか
  4.2 変化の理論としての現在主義
    4.2.1 出来事からものへ
    4.2.2 もはや存在しないものについての真理
  4.3 変化のパラドクス
    4.3.1 ものの変化のパラドクス
    4.3.2 出来事の変化のパラドクス
  4.4 無時制理論からの批判
    4.4.1 文トークンの真理値における矛盾
    4.4.2 真理述語の時制化
    4.4.3 現在主義に基づく応答
  4.5 時間の経過という考えそのものについて

第5章 時間の非対称性
  5.1 時間の非対称性と時間のなかの非対称性
  5.2 ルクレティウス主義とグローバリズム
    5.2.1 時制化された性質
    5.2.2 世界の性質としての命題
  5.3 非対称性の原理
  5.4 反論と応答
    5.4.1 反論1:過去における未来言明の真理
    5.4.2 反論2:排中律の違反
    5.4.3 反論3:時間の非対称性と決定論
  5.5 論理的決定論について

結論
あとがき
引用文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

田蛙澄

1
わりと永久主義に本当らしさを感じてしまうのだけど、でも死を考えると死んだら非存在になるという直観は現在主義によって正当化されると思うので読んでみた。一番気になっていた相対性理論との関係では、確かに存在論としての検証主義を退けるというのはそれなりに説得力があるが、光による同時性と存在論としての絶対的同時性を別の次元の問題と考えるのには些か違和感がある。グローバリズムは存在論としては説得力があるが、原子論的な基礎づけは我々の過去言明が既に分散している各原子を志向しているというのは無理があるように思う。2018/07/14

1
本書は、分析形而上学の時間論を主題としており、「実在するのは現在のみである」という現在主義という立場が擁護される。イントロダクションの役割を果たす1章の後は、現在主義が直面する二つの困難に対処する2章と3章、変化の次元としての時間を擁護できるという現在主義の長所を明らかにする4章と5章に大きく分けられる。どの章も興味深かったが、とりわけ「過去に関する真理の基礎づけの問題」を扱う2章、「現在主義が時間の非対称性をどのように扱えるのか」という問題を扱う5章が興味深かった。2015/04/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9042859
  • ご注意事項

最近チェックした商品