恐怖の法則 - 予防原則を超えて

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恐怖の法則 - 予防原則を超えて

  • ISBN:9784326154357

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内容説明

人々は恐れるべきでないときに恐れ、恐れるべきときに大胆であったりする。民主制国家において時として「危険に対する人々の狼狽」は集団、都市、ひいては国家に多大な影響を及ぼす。人々の恐怖/不安と法や政策の関係はどのようにあるべきか。熟議民主主義・合意論をリスクや恐怖/不安という現代に欠かせない視点と交錯させ論じる。

目次

謝辞

はじめに
  熟議と理論 予防原則と合理性 本書の構成 アプローチと政策

第I部 問題編
第1章 予防とその機能不全
  予防原則  弱いバージョンと強いバージョン  予防の実際:ヨーロッパの状況の瞥見  備えあって憂いあり?
  なぜ予防原則は機能不全に陥るのか

第2章 予防原則の背景
  想起可能性ヒューリスティック  確率無視  損失回避性となじみ深さ  慈しみ深き自然(という神話)
  システムの無視  ありうべき反論:目標の有益性  予防原則論者の応答:精緻化  より広い視野へ

第3章 最悪のシナリオ
  認知  感情  確率無視:基本的現象  安全?安全でない?  閾値と確実性について  簡単な実証
  より複雑な実証  その他のエビデンス  確率無視、「競合的合理性」、二重処理
  メディアについて、確率無視の不均一性についてのメモ

第4章 野火のように広がる恐怖
  スナイパー  カスケード  集団極化  メディア、利益集団、そして政治家  事前性向


第II部 解決編
第5章 予防原則の再構築と恐怖の管理
  カタストロフィ  不可逆的損害:その曖昧さについてのメモ  安全マージン  予防を分析する
  恐怖の管理と公開の必要性  恐怖の増幅?  テクノクラートとポピュリスト

第6章 費用と便益
  費用便益分析の実際:規制機関はどのようなことを行っているのか、それはなぜか
  リスクによる相違  人による相違  理論と実践

第7章 民主主義、権利、分配
  単純な設例  反論  人口集団間の差異、国際的差異  より難しい設例:分配と厚生
  難しい設例を単純な設例と同様に扱う?  地球温暖化

第8章 リバタリアン・パターナリズム(リチャード・セイラーと共著)
  貯蓄と選択  選択の合理性  パターナリズムは不可避的か?  政府
  選択に対する影響はなぜ避けられないのか?  パターナリズムの不可避性
  不可避的なパターナリズムを超えて(しかし、未だリバタリアン)  具体例と一般化  普遍化  反論
  厚生、選択、そして恐怖

第9章 恐怖と自由
  ひどい衡量:単純な説明  さらにひどい衡量:選別的な自由の制限  トレードオフ無視と自由  自由を守る
  明確な声明の原則  選別的に自由を否定する場合には特別の審査を
  衡量、そしてセカンドオーダーの衡量  恐怖と自由

結論 恐怖と愚行

監訳者あとがき

原注
人名索引
事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GASHOW

5
人のリスク認識の偏向などがかかれている。リスクに関して若い安い本。この表紙はゾンビものを連想させますが、ゾンビ関係なし。タイトルからの期待ははずれましたが、リスク関連の本はあまり面白くない本が多いのでそのなかでは面白いと思います。2016/12/12

とりもり

1
全体に表現が冗長で非常に読みにくい。予防原則に対する批判がメインだが、環境問題とテロを確率論だけをもって同列に論じるのは無理があると感じる。人が利益よりも損失を過大視して合理的な選択を取らないことは行動経済学で明らかにされているとおりではあるが、それでもなお社会的費用の負担については合理性を超えた責任があるべきでは。その点で、前提次第で大きく結論が変わる費用便益分析を高く評価していることにも違和感を禁じ得ない。福島原発というカタストロフィーが現実化した今では、机上の空論と言わざるを得ない本。★☆☆☆☆2020/08/08

ソーシャ

1
アメリカの有名な憲法学者・行動経済学者のキャス・サンスティーンが予防原則について批判的な立場から論じた本。心理学や法政策学、憲法学の観点から予防原則をめぐる様々な論点が具体例を挙げながら詳しく論じられています。予防原則賛成派の議論も紹介されていますし、議論状況を見るのにも役立つ本ですね。2015/03/29

ひーくん

0
人々の恐怖にどう対処するか。そこで提示されるのは、リバタリアン=パターナリズムという視点。人々にパターナリスティックに一番いいと思う選択をデフォルトとして提示しつつ、そこからオプトアウトする権利を常に確保することで人々の自由を尊重できるぞという一見当たり前ではある考え。これに対する批判的な意見を東浩紀が提起してます。僕が気になったのは彼が執拗に予防原則を拒否するところだ。それは合理的だが、実にアガンベンが指摘する近年の政治の予防を拒否する傾向と重なるである。民主主義の理念の再考が必至2015/12/09

くらーく

0
ちょっと私には冗長に感じられて、読むのが辛かった。自分の知識、能力不足なのだろうけど。 ただ、世間は自動車よりも日焼けよりもたばこよりも、テロや原発にリスクを感じるのは、なぜなのだろうねえ。 2015/07/25

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