内容説明
2020年、世界を襲ったSARSインパクトにより国際社会は激変した。庶務省総務局、経済インテグレーション・サステナブル・ソリューション室、通称KISS室の島崎室長と部下の中村君は、地球温暖化問題や働き方改革など、他省庁をたらい回しにされた重要課題に対する、エレガントな政策提言に余念がない。「潜水型流氷カニ運搬計画」「残業パラダイムシフト」「国際原子時（TAI）連動景気対策」などなど、日本を救うショートショート15篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
189
SF要素を絡めて皮肉たっぷり、まあ何とも風刺の効いたショートショートでございました。島崎、働けよ！というか無能すぎる。中村君は賢いし人も好さそうだし、お役所気質になってほしくないなあ。脱力するような企画。面白いと言えば面白いけど、自分のツボではなかった。ただ、いい息抜きにはなった。これ読んでたら、島崎と比較すると、自分はけっこう頑張ってるんだなと思ってしまう。2021/07/26
よっち
50
2020年、世界を襲ったSARSインパクトで激変した国際社会。庶務省総務局、経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室、通称KISS室の島崎室長と部下の中村君がエレガントな政策提言を手掛けていくショートショート15篇。地球温暖化問題や働き方改革など、他省庁からたらい回しにされてくる近年の重要課題に対して、ぐうたらなダメ上司に丸投げされ地味にハイスペックな中村君が次々と繰り出す政策提言が斜め上だけど鋭くて、二人のぐだぐだな会話のじわじわ来る感じが効いていて、いつもと違う感じでしたけど面白かったです。2021/03/08
ち～
38
庶務省総務局「経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室」、通称KISS室。各省庁から回された案件（国際会議の出席やGDP予測値の作成など、意外と重大）を捌いていくが、環境問題、働き方改革、IR施設など時事ネタを扱っているのが面白い。仕事をしない阿呆なキャリア官僚・島崎室長の元、ボンボンでありながら、そつなくこなしていく中村の生み出す意表を突いたアイデアにニヤリ。2人の掛け合いがコメディタッチで、「この作家さんはこういうのも書くのか！」という新たな発見もあり、次がどんな作品になるのか楽しみです。2021/04/07
rosetta
29
発売当初に買ったのに読むのがこんなに遅くなってしまった。母校を舞台にした『グリフォンズガーデン』のリリシズムや、『未必のマクベス』の壮大な物語とは全く違う新たな作者の面を魅せる連作短編集。庶務省にわざわざ作られた左遷部署ＫＩＳＳ室(経済インテグレート・サスティナブル・ソリューション室)に飛ばされた使えないキャリア官僚の島崎女史の元で働く高専出身の一般職員中村君の奮戦記。実は中村君はマンションを1棟買いするような大金持ちのボンで、就職祝いに父親から国債五億円をプレゼントされ、一人暮らしの自宅には執事がいる→2021/11/06
えも
28
架空の省庁が舞台の荒唐無稽なショートショート。いやいや、あいつら案外やってそうな、官僚機構ディスり小説です▼これまでの小説と毛色が違う。だから著者名をひらがなにしたのかな。2021/10/07
