内容説明
夜は、夢魔が目覚める時。夜に生をうけた人形たちは、人の世の原罪を、哀しみをまた憎悪を、その糧として生きているのであろうか。……日常の営為の底に潜むもう一つの世界を、人形たちとともに旅する時、季節の移ろいは、我々をより深い酩酊へ、迷宮へ、そして破局へと誘う。著者50年の苦い想いをもこめて描く、魔術の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinshirinshi
9
ある人形研究家をめぐる、四季それぞれ三編、計十二編からなる連作短編集。春と夏は官能的、秋と冬は(アンチ)ミステリ仕立てで、全体を通した仕掛けもある。「春」の冒頭の一文が紅葉を描写している謎も最後に解けた。「夏」の、若い男と短い恋に落ちた年上の女性が、紫陽花が色褪せるように少しづつ地味な着物に着替えていく、という逸話が印象的。「秋」は失踪した女、暗号とこけし、旅先で出逢う謎の青年、と幻想ミステリ好きには堪らない内容だ。そして「冬」では、虚実、愛憎、貴腐、人形と人間の対比が、美しいイマジェリーと共に紡がれる。2021/04/04
ネムル
8
反現実のこってりした筆致が、短編の枠に上手く収まっていないように感じてしまった。ただし連作としての挑戦が面白い。髙橋康也の解説も。2024/07/03
押さない
4
推理小説に分類するのならば、幻想的文体は漠然不鮮明で少し…という感じ。春夏秋冬の短編集がグラデーションに連なり、人形たちを介して、「誰の思惑か」に到達する。暗号推理は今まで自力で解けた事がないのだが、今回も残念ながら解けなかった。2017/12/23
akiz
2
川越で始まり川越で終わる。貴腐の存在しなかった〆方のものも読みたいと思わずにはいられなかった。
tei
2
さすが中井英夫、と言うしかない見事な入れ子構造。冒頭からラスト数編まで続く気味の悪さが、ラストに消えたかと思いきや……。短編連作集ではあるが、最後まで読みきることをお勧めする。2011/06/15
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