内容説明
必死の逃亡者となった元ＯＬが、恐るべき謎の殺人事件を解く、サスペンス&ロマン・ミステリーの傑作長編――行きずりの男と一夜をともにした女が、いつの間にか殺人事件の容疑者に仕立てられていく、その戦慄すべき罠。彼女は身内も友人もすてて、たった一人、狂わされた自分の人生をみずから修復すべく、逃亡と真犯人探索の旅へと出立する……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人００９
228
稀代のトリック・メーカー、笹沢左保さんの第３作。著者は前２作で捜査側の倉田警部補を中心に据えた作品を書かれてきましたが、どうやら警察小説の枠組みに飽きられたようで本作からは濡れ衣を着せられた素人女性の側から描く物語にシフトされたようですね。まあ時代錯誤的な古さはありまして本書の冒頭で会社の臨時雇いの計算係の女性二人が男性の係長からスラックスで出社した事を強く叱責される場面があります。これはプライベートで付き合うのを拒否された怨みの理由もありますが、こんな事は今では考えられない暴挙で明白なパワハラですよね。2023/10/31
ヨーコ・オクダ
27
上司と衝突し会社を飛び出した真弓と三枝子。その夜、飲み歩いて泥酔し、最後の店で知り合った元・郵便局員の男と3人で旅館に泊まる。ズベ公的女子2人が目覚めると、彼は絞殺されていた！やってないのに逃げる系ストーリー。途中、捜査の手が迫ってくるのに耐えかねて、三枝子は自殺。1人で逃げ続ける真弓の前に、姉の事故死の真相を探ろうとする男・隆二が現れる。そこから、バラバラだったいくつかの事件がリンクし始める。年長の弁護士と若い妻、労働団体幹事長と年増の後妻。郵便局員の役割は？意外と純な真弓のキャラがエエ味を出している。2021/02/13
wm_09
0
一見、結婚なんて地獄だぜ的な、おやじのエッセイ臭のするタイトルだが、これがトリックに非常によく結びついていて、正直驚愕する。彼の作品はトリックが明かされるまで、どの類のトリックが用いられるのか分からない楽しさがあって癖になる。本作も、この手を使ってくるかと、ただ感嘆。（ローウェル嬢）2010/03/08
