内容説明
昭和十四年、日本統治下の台湾――-。名高い旧家・応家の美女の周辺で男たちが相次いで死亡する。最初の夫が海難事故死し、二人目の夫は何者かに殺害され、さらに毒殺事件が起こる。内地から派遣された警官が、台北から台南の町々をめぐって事件の謎を追う、妖しい懶さが漂う長篇ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
72
台南、亜熱帯の風景が鮮やかに目に浮かびます。 昭和14年、日本統治下台湾での殺人事件。 古い作家さんです。ミステリですが、むしろ文章を味わう系かな。2022/10/17
YO)))
20
復刊を機に再読したがやはり該作家屈指の傑作だと思う。ミステリとしては後出しジャンケンばかりで推理の楽しみもないようなものだが、台湾南部の風俗の描写の美事さと、その中に綾なす人間の愛憎の綴れ織り、命運の儚さ。氷屋の扇風機の羽根越しに見る幻影の如くである。2021/02/28
黒い森会長
2
読んだのは、徳間文庫、1982年8月刊、221p。1961年(昭和36年)5月東都書房より刊行。ある会合に参加した主人公が、昔の上官に会い、飲み行く。上官はトイレに行き、主人公はその死体を見つけてしまう。傍にいた、台湾籍の歌姫を連れ帰る。途中、戦争前の台湾の事件を思い出す。台湾の場景が丁寧に描かれ、ミステリーであることを忘れそうになる。小説内小説に、枠構造を持ったミステリーである。2021/04/08
もっち
1
昭和初期台湾の風物やそこに生きる人々の在り方がとても興味深く読めた これに加えて謎解きミステリとしての結構がしっかりしていればさぞや…とはどうしても思ってしまうけれど2022/10/24
渋谷英男
0
地名、名称が読めない。☆22021/03/23