創元推理文庫<br> もう耳は貸さない

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創元推理文庫
もう耳は貸さない

  • ISBN:9784488122072

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内容説明

メンフィス市警殺人課の刑事の現役時代、わたし、バック・シャッツは357マグナムを手に、強盗や殺人犯を追っていた。しかし引退から数十年、89歳になり、心身ともに弱っていく日々を過ごしている。そんなとき、ラジオ番組のプロデューサーからインタビューの申し込みがあった。かつて逮捕し死刑執行が間近に迫っている殺人犯が、捜査でわたしから暴力的に自白を強要されたと主張しているというのだ。現役時代のわたしは、あの事件で何をしたのか――。大好評『もう年はとれない』のシリーズ最新作登場!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のぶ

93
エンタメ小説として楽しめるが、アメリカの社会問題を提議した作品だった。バック・シャッツシリーズの3作目。バックも89歳になり、心身は徐々に弱って認知症の症状も出始めていた。そんな彼にラジオ番組のレポーターから過去の捜査に関するインタビューの申し込みがあった。大昔に逮捕し、死刑の執行が目前となっているチェスタ・マーチが、暴力的に自白を強要されたと主張しているという。老いた体で過去をたどっていくと・・・。そんなストーリー展開と、死刑制度の是非を問われていて、考えさせられる部分もある物語だった。2021/03/17

sin

79
タイトルに“もう耳はかさない”とあるがもとから人の意見を聴くような男ではない。一般的に拳を振り回すしか社会に対処する能のない男と云う生き物に連れ添う女性は憐れだろうか?いや本書の彼には信念があり、彼女にしても自ら選んだ道に他人の意見は無用である。本作で彼は見守る決断を迫られ逃避的な健忘症に導かれる。最後に彼の語る正義に対してここでのラジオのパーソナリティーの死刑囚の人権を擁護する発言は公正なものとは言い難く罪を語らず権利を主張するのは体制批判が目的で本質は別にある。現実はさておいての正義の主張に過ぎない。2021/04/14

papako

71
楽しみなじいちゃんシリーズ。バック・シャッツは歩いていた!今回は過去に逮捕した死刑囚の取り調べで、バックが拷問した?違法捜査を指摘される。歩行器で歩くバック。癌にかかってしまったローズ。司法試験目前のテキーラ。さすがに暴れられないバックなので、主に回想とアメリカの死刑廃止論議が中心なので、今までの痛快さはない。バックがローズの病気や息子の死に向き合えない自分に向き合うことになる。ワトキンズが犯罪を体制の所為だという主張に対するバックの言葉が説得力があった。物足りない面もあるけど、私は楽しみました。2021/03/11

タツ フカガワ

64
元殺人課刑事だったバックのもとにラジオ番組プロデューサーのワトキンズから取材の申し入れがある。35年間服役中の死刑囚が近く刑を執行されるが、死刑囚はバックの暴力によって自白させられたと訴えているという。そのバックは現在89歳、妻ローズががん宣告を受け、自らも認知症が進行中……なんという設定だと思いながら読み出したらこれが面白かった。クライムサスペンスのなかに織り込まれた死刑制度への問いかけ、読み応えがありました。孫の“テキーラ”、いい弁護士になりそう。シリーズ3作目のようで、早速1,2作を読まなければ。2024/01/18

くたくた

64
秀逸。バックの老いはシビアで身につまされる。夫婦それぞれの老化と病への向き合いかた、過去に逮捕したシリアルキラーの身勝手な冤罪の訴えに乗ってバックを巻き込もうとする体制批判論者との対立。便乗する死刑廃止論。孫のテキーラはバックの盾になってジャーナリストと立ち合い、なかなかの切れ者ぶりを発揮。なんだこいつ、格好良い。つくづくと人間は身勝手で醜悪ではあるが、バックがマイノリティながら市警で筋を通して(かなり行き過ぎもあったが)きた人生の歩みが、これまで3作の中で一番染みた。バック母、強し!2021/08/12

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