内容説明
母を亡くして約二十年。私にとって七十代の父はただ一人の肉親だ。だが私は父のことを何も知らない。そこで私は、父について書こうと決めた。母との馴れ初め、戦時中の体験、事業の成功と失敗。人たらしの父に振り回されつつ、見えてきた父という人、呼び起される記憶。そして私は目を背けてきた事実に向き合うーー。誰もが家族を思い浮かべずにはいられない、愛憎混じる、父と娘の本当の物語。(解説・中江有里)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
140
2021/3/14 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2022/11/25〜11/27 ドラマ化もされた、スーさんの家族を書き綴ったエッセイ。お父上は相当癖のある方のようで、エピソードたっぷり。自分の父親や母親のことをかけと言われても、なかなかこんなエピソードは無いなぁ(あるいは、それを魅力的に描き綴る筆力がない)。 中江有里さんの解説も読み応えあり。2022/11/27
そら
73
著者のことは"聞いたことがある"程度の認識しかなかったがとてもユニークなエッセイだった。24歳で母親を亡くし、商売をしていた父親は多額の借金を抱え、想い出も大切な実家も失くしてしまう。笑えない話なのに、スーさんが描く過去や日常はとてもユニークで、きっとこの父親も憎めない存在なのだろう。家族だからこそ逃げられず許せないこともあるだろうが、家族だからこそ途切れない縁もある。チャーミングに娘に請求書を渡したり、何かをねだったりする70代のお父さん、読んでいてほっこりしました。お母さんの切なさは心に残りましたが。2021/09/03
おうち時間
68
ドラマを見ていたので原作本を見かけて手に取りました。ドラマでは吉田羊さんと國村隼さんが親子を演じていたので読んでいて、あ、このシーン確かにドラマでもあったなぁと思い出しながら読みました。一見ユニークなお父様ですが、自分の父親だったら大変かも。ジェーン・スーさんのことお名前しか存じ上げていなかったので純日本人であることに驚きました。一人っ子だからご両親が同時に入院された時はとても大変だったことと思います。お父様と仲良くお母様のお墓参りにいく様子は微笑ましい。ジェーン・スーさんがとても素敵な女性に思えました。2022/08/14
olive
43
ドラマ化もされ母を二十年前に亡くしたジェーンさんと、若かりし日は、遊び好きで野心家での博徒タイプの父との関係を描いたエッセイ。生きていようが死んでいようが緩衝材になる母の存在。わかるなぁー。父と娘の関係も、母と娘の関係もわかる緩衝材。2023/01/07
ヒロキ
33
母を亡くした父と娘の親子関係を赤裸々に綴ったエッセイ。 家族だからといって全てを知ってるわけではないし、ひょっとしたら全てを知らない方が楽に生きられるのかもしれない。 でも後悔しないために娘は父と向き合う。 父に振り回されながら、縁を切りたくても簡単には切れない関係を付かず離れずでなんとか乗り切ってるように思えた。 愛らしさと憎らしさが、良い距離感に感じた。 死してなお、母の力の大きさが分かる。2021/05/04