角川ソフィア文庫<br> 大杉栄伝 永遠のアナキズム

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角川ソフィア文庫
大杉栄伝 永遠のアナキズム

  • 著者名:栗原康【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • KADOKAWA(2021/02発売)
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  • ISBN:9784044003357

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内容説明

第5回「いける本」大賞受賞、紀伊國屋じんぶん大 賞2015第6位の新評伝!

労働者、消費者、学生、夫、妻といった社会的アイデンティティを被らされ、「社会」の役に立つように動員されていく現代社会。
その「役に立つ」も、エッセンシャル・ワーカーを除いてはブルシット・ジョブ(デヴィッド・グレーバー)ばかりで、「やってる感」の演出のために長時間労働を強いられるばかり。
かつ、真に必要な仕事は低賃金を強いられ、新自由主義の歪みは極大化している。
“自由で民主主義的な社会”であるはずなのに、なぜ私たちはまったく自由を感じられないのか?
これは、「生の負債化」である。
この「生の負債化」に対し、「生の無償性」が大杉栄のアナキズムの肝なのではないかという視点から、気鋭のアナキズム研究者が生の拡充、相互扶助の大杉思想を現代的に読み解いていく。
アナキズムとは、「支配されない状態」を目指すことだ。
「生の負債化」に抵抗し続け、無支配の世界を構想した男・大杉栄。甘粕事件で国家に虐殺された、傑出した社会思想家にして運動家を新たな文体で描いた、傑作評伝!


※本書は二〇一三年に夜光社から刊行されたものを文庫化したものです。

【目次】
 はじめに

第一章 蜂起の思想
第二章 アナキズム小児病
第三章 ストライキの哲学
第四章 絶対遊戯の心
第五章 気分の労働運動
第六章 アナキストの本気

 おわりに
 文庫版あとがき
 脚注
 参考文献
 解説
 人物解説・索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

43
永遠のろくでなしへの愛憎混じったレクイエムです。読んでる間中頭の中にはセックス・ピストルズが流れていたけれど、自分真のアナキストは責任感のある自由人だと思う。ジョン・ライドンの生き方に比べると大杉栄は真面目な詐欺師だ。だからこそ、いい人の皮をかぶった詐欺師だらけの日本でいまだに異彩を放っているのだと思う。嫌いだけど。…祖父とはどういうつながりだったんだろう…やっぱ無産党時代の付き合いだったのかなあ…。2023/06/28

ケイトKATE

30
大杉栄の人生は、一言でいうと自由を求め続けた人生であった。軍人の息子として生まれたものの、吃音持ちで母親から虐待され、陸軍幼年学校でもいじめられ、奴隷のように支配される世界に嫌気がさして退学し上京。上京して師となる幸徳秋水と出会いアナキストとなる。大杉はアナキズムを徹底的に実践していった。その生き方は、ある意味わがままであり、子供じみたところがあり呆れてしまう所がある。その一方で、資本主義も(ソ連的)共産主義も、奴隷として支配される体制であることを見抜いていたことに、私たちは大杉栄から学ぶ必要がある。2023/06/08

かふ

23
アナーキズムというよりは大杉栄の魅力を伝える評伝。大杉栄のアナキズムは「相互扶助」ということに尽きるのだが、それは昨今のように権力側が与えるものでもない。それは奴隷と同じという。その中に喜びがなければということか。苦痛ばかり言い立てる道徳などクソ喰らえというあっぱれさ。そのためには命さえ惜しまぬという生き方なのか。大杉栄もそうなのだがその後の仲間たちにも言及される。馬鹿ばかりだ。でもそれが魅力。なんだろう子供時代の遊び仲間みたいなものだろうか?大人になるとやたら損得ばかりになる。2023/06/21

猫丸

14
資本主義バンザイ!なわけがない。最悪だと思う。でも、ほかのすべての経済体制を除けば、という例のヤツなんだよね。栗原さんの文は、いつもこの確信を揺るがす。今回は大杉栄の伝記である。ロシアで革命が起こったのは理論的にもおかしいからこれは単なる逸脱だが、もしイギリスで共産革命が起こっても、結局はスターリニズムへの経路を辿る疑いが強い。「まず権力を握ります」の時点でダメなんだと大杉は言う。米騒動を組織した前衛はいないのだ。これがサイコーなんだ。理不尽の圧してくる力が閾値に達したとき、自然に湧き起こる抵抗。2022/09/15

Chiyo K.

13
学生の頃、授業をサボって好きなことに打ち込んだり、人の迷惑も顧みず自由奔放に振舞う人や行為をさして「アナーキーだね」と仲間内で評していたものだった。アナキズムには革命やテロ、過激な運動といったイメージが政治的にはあるが、本質的にはそればかりではないということだ。むしろアナキズムが暴力的なものとして発動するのは、人を隷従させようとする一層暴力的な資本主義の下でこそだろう。本書で特筆すべきは文体だ。「やばい、たのしすぎる」「えらそうだ」などと大杉が乗り移ったような著者自身のツッコミが頻繁に入り飽きさせない。2022/01/20

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