内容説明
冷戦下、FBIで働く黒人女性のマリーは、ブルキナファソのカリスマ的リーダー、トマ・サンカラを罠にかける任務を言い渡される。しかし、スパイとしてサンカラに近づくうちに、彼女の信念は揺らぎ始め……。史実を元に、一人の女性の生き様を描く、歴史スパイ小説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
58
これまた驚くほど秀逸なデビュー作。スパイとしての任務を描くにあたって、緻密に人物の背景を構築する様や、正義や大義の揺らぎをデリケートに表現する筆致は、正にかの大作家ジョン・ル・カレを思い起こす。そこに「黒人」で「女性」であるが故のガラスの障壁、国家や家族(特に姉)に対するアンビバレンスな感情などが入念に描かれていて、現代の文学作品としても非常に完成度が高い。古典性とオリジナリティを併せ持つ良作。終始淡々とした文章で強烈なインパクトを残すわけでもないが、質の高い読書時間を過ごせて大満足である。2021/02/19
碧緑(あおみどり)旧だいだい
18
プルキナファソ。この国のことは良く知らなかった。冷戦下で共産主義革命を行った実在のリーダー、トマ・サンカラ大統領にハニートラップをかけることを求められ、動揺するアメリカ人の黒人女性マリー。事故死した姉が交際していた白人(CIA勤務)のスレイターと話したい、という動機で、望まない業務に一歩踏み出す、という筋書き。この話自体がマリーの回想録の形をとっているために初めの方がやや退屈。結末も最初から見えており謎も少ないが、マリーの心の動き自体を読ませる文学作品としては深みがあり、優れている。2021/03/06
mike_sugino
8
図書館で借りて読了。ベタなタイトルですが、結構考証されていて所々唸らされた。主人公のマリーはFBIに入局し、防諜業務に就いてていたが、ある時CIAから誘いを受け外国大統領への調査を行う。徐々にストーリーはふくらむが、1960年代から90年代における黒人女性の立場も考え、それを今、同じ黒人女性である著者が描いてくれたことが素晴らしい。2021/04/15
yooou
6
☆☆☆★★ ル・カレ的な展開を期待して手にしましたが期待する方が悪かった。後半の推進力喪失・失速感は残念と言うしかありません2021/06/25
森玉
4
タイトルからこの本を選んだ方には不完全燃焼なところがあるかもしれないが、シングルマザーでハーフの子を育てる私には、胸に迫る物語だった。主人公マリーの葛藤と正義、アフリカに実在する隠された陰謀の数々。どうしてこんな世の中に我々は生きているのだろうという声にならない怒り。たとえ正論でも、様々な思惑で変革には至らない虚しさ。まったく次元は違うが、このもどかしさはなぜかコロナ禍を生きる私たちにも通じるものがあるような気もする。わずか少数の利益のために、まっとうな意志と弱きものが犠牲になる悲しさをかみしめる2021/08/12
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