内容説明
なぜみずからの性別に違和感をいだくのか?どのようにして、割り当てられた性別とは異なる性同一性を形成していくのか?「ある性別として生きる」とはどういうことなのか考えてみたい、すべての人におくる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
12
2017年刊。心理学の博士論文がもと。ジェンダークリニックの受診者や大学の講義履修者への計量調査を踏まえながら、ジェンダーアイデンティティに対する環境要因の強さを突き止めた、本格的な学術書。一方では「社会的性役割を構成概念」(82頁)とする社会学的な分析概念を単純として批判しつつ、遺伝的要素を分析したとしても、年齢が長じるにつれて環境要因が強くなるため、ジェンダーアイデンティティは流動的であると考えるのが妥当であるとしている。トランス女性とトランス男性では周囲の受容に差があることも分かり、勉強になった。2026/05/05
ひつじ
9
心理学と書かれている通り、データを分析したことから推測したりしてゆく心理学としての本である。そこまで想定外の話が無かったので頑張ったんだなぁと思うくらいで、情報を得たような気持ちにはならなかったかな。もちろんデータから知れることもあって面白いことは面白いのだけれど、多分私はデータでは知れないような細かいニュアンスや個人性を知りたかったんだろうな。欲しいものはただの当事者の物語だけでは無い、何かだとは思うが。学問のアイデンティティの定義とか出されても、鼻で笑ってしまうものなぁ……。2021/11/30
空白
1
トランスジェンダーに関する先行研究と著者による研究がたくさん紹介されていた。私の心理学統計の知識が抜け落ちてしまってて理解が難しいところもあったが、著者が多様な観点からトランス当事者を対象に研究していたのでかなり勉強になった。 紹介されていた著者の研究は2003年あたりのものなので今追試をしたら結果は多少変わるかもしれないがトランス当事者の適応には学校や職場での需要がかなり関わっているとのことで、偏見を変えていくのもなかなか難しいことかもしれないが社会でより啓発活動等に努めていく必要があるのではと考えた。2023/04/11
汽
0
性同一性障害に関する学術書。255文字では到底言い及ぶことのできない情報量。性同一性障害とは本当に身体とは逆の性別の心を生まれ持ってしまうものなのか。環境要因はないのか。あるとしたら何が考えられるか。この障害の核心に触れる一冊。マイノリティに寛容な社会の形成はもちろんだがメディア等によってつくられたステレオタイプからの脱却も同時に進行させなければ本当に理解には至らないという現実がある。そしてトランスジェンダーの考察を拡大してシスジェンダーの男女(特に男性)の性的規範が崩れるという予想も同意できる。2017/12/04
guralis
0
恥ずかしながら調査方法の詳細や統計の読み方がいまひとつ理解できず飛ばし読みしつつ、考察を中心に熟読。遺伝しているものが環境によって抑えられたり、社会や身の回りの人間との関わりによってさまざまな変化を見せたりと、性というものの多彩なグラデーションに触れられた。かなり参考になった。2017/10/07




