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内容説明
「ユマニストの王者」として君臨したエラスムス.ヘンリー八世の統治下で大逆罪に問われて刑死したトマス・モア.その固い友情が,のちに伝説化されるまでになった二人の往復書簡全五〇通に,一六世紀ヨーロッパにおける知識人たちの知的活動,政局,文化交流の様子を読む.宗教改革の舞台裏を赤裸に語る資料としても貴重.
目次
凡例┴エラスムス=トマス・モア往復書簡┴訳注┴解説┴あとがき┴関連略年表┴索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
13
「ユートピア」の著者と「痴愚神礼賛」の著者である二人の人文主義者の書簡。人文主義者同士の書簡、さぞ高邁なことが書いてあるのかと思いきや、他人に対する厳しい批判、愚痴などかなり俗的な事が書かれているのは人文主義者と言えどもごく普通の人間なのだなあ、と思った。エラスムスの論敵に対する厳しい批判は当時彼のおかれた複雑な状況をよく伝えてくれる。そして最後のモアからエラスムスの書簡にはモアの墓碑銘が添付されており、モアの死の覚悟がうかがえる。まもなくモアは刑死し、一年後エラスムスも亡くなる。2017/12/27
ラウリスタ~
9
表紙の右がエラスムスで、左の青髯がモア。エラスムスの方が九つほど年上だけれども、お互いへの尊敬の思いが感じられる往復書簡。モアが誰かにキレて論争を拡大させようとするとエラスムスが、「まああいつも僕の友達だから」と押しとどめ、エラスムスがぶちギレるとこんどはモアが・・・ってパターンが多い。ヨーロッパを股にかけた巨星同士の頭脳戦というよりも、教会でも大学でも宮廷でも、どこであっても敵を作ってはトラブルになる二人の、遠くにいる心の友への愚痴って感じ。もちろん二人ともラテン語、エラスムスの方が上手いらしい。2015/07/20
roughfractus02
7
オランダの私生児とイングランドのエリート。出自も言語も異なる2人はラテン語で書簡を交わした。本書は、ルネサンスを担う人文主義者と呼ばれた2人がカトリックとプロテスタントが争う宗教改革の時代に投げ込まれる様を、風刺的な笑いと真摯な批判の大きな振幅の中に日々の生活を伝え合う身近な私事の描写や些細な愚痴を挟みつつ伝える。新旧宗派に与しないエラスムスと旧派に信を置くモアは、宗教間と国家内の争いの中でも何にも属さない共通理念としての人間を掲げ続けた。そのゆえに一方は孤立し、他方は斬首されてこの書簡の往復は途絶える。2022/05/12
シンドバッド
5
高田康成のあとがきにある通り、沓掛良彦のラテン語からの日本語への流暢な訳に大喝采です。 この往復書簡は、辛辣なところもあり、書簡集の魅力満載。2015/09/26
belier
3
16世紀を代表する人文学者の二人の書簡集。それがまた噂話と愚痴ばかり。平和主義者で戦争や虐殺を扇動することもなく、ユーモアあふれる作品を書いた二人も書簡ではあまり立派な感じはしない。いろんな古典作品が文中に引用されていて教養の高さはみてとれるが。逆に言うと平和主義者になるには人間的は高みは必要ないということか。愚痴ぐらいはいいでしょうと。ただし、死を覚悟したトマス・モアの最後の書簡は感動的である。権力者に逆らうと命を奪われる時代に、節を曲げなかった人の感情を抑えた文章。やはり凡人ではなかった。2017/09/30
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