内容説明
日本の植民地支配から解放されて七〇年.分断,戦争,独裁,軍事政権,民主化運動,経済破綻……盧武鉉から李明博を経て朴槿恵政権へと移り変わる中で激しい変化をとげる韓国.いったいどこへ向かおうとしているのだろうか.日韓関係はどうなるのか.近年の動向を反映した,グローバル時代の新たな通史.
目次
はじめに┴序章 東アジアの近代と朝鮮┴1 近世東アジアの地域システム┴2 植民地下の朝鮮社会┴第一章 解ヘ放バン、分断、戦争┴1 日本の敗戦と分割占領┴2 米軍政下の支配と抵抗 一〇月抗争と四・三事件┴3 朝鮮戦争とその社会的帰結┴4 四・一九革命┴第二章 軍事政権の時代と光州事件┴1 朴正熙の登場┴2 日韓条約と維新体制下の韓国┴3 変貌する韓国社会と地域感情┴4 光州事件┴第三章 民主化の時代┴1 六月民主抗争┴2 三党合同と五月闘争┴3 九〇年代の韓国 「文民政府」から「国民の政府」へ┴4 日韓新時代┴第四章 グローバル時代の韓国政治と社会┴1 盧武鉉の挑戦┴2 過去への眼差し┴3 保守回帰の時代 李明博政権から朴槿恵政権へ┴おわりに┴大韓民国憲法の沿革┴参考文献┴略年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
181
日本による差別や搾取。米ソの統治もひどかった。北の改革は苛酷を極め、南へ逃れた人々は徹底した反共へ傾く。済州島の動乱では無辜の数万人が殺され、朝鮮戦争では兵士が民間人を虐殺した。人々の分断の痛みはどれほどか。ベトナム派兵では赤ん坊まで殺したという。この国の闇の深さ…それは同時に世界の闇の深さなのだろう。米主導の秩序に偏った日韓条約が心の償いを果たせなかった事実を、日本人も重く受けとめねばならない。光州事件以後の民主化運動を経て地方主義、特に湖南への差別感情は薄れていくが、世代・地域・階層の亀裂は今も残る。2021/04/04
lily
131
ドラマ「ジャイアント」、映画「1987、ある闘いの真実」「光州5・18」も合わせて観るとリアリティーが増す。清渓地区のスラム、三スニ、三清教育隊での過酷な訓練と虐待の光景など。死者数百人、負傷者数千人の数百万人規模のデモは戦後80年代まで幾度となくあった。権力と資本からの自由を掲げたハンギョレ新聞の創刊など民主化の時代までには無数の血と涙があった。2008年の100万人のろうそくデモの政権批判とセウォル号沈没事故は権力中心主義による超競争社会の歪みと市民の不信感と怒りを映す自画像のようだ。2020/02/03
おたま
52
何故韓国の文学や労働運動にあのようなパワーがあるのか、それを知りたくて、読んだ。また同時並行でチョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』という小説を読んでいたので、その背景も知りたかった。太平洋戦争後、解放されたはずの朝鮮で、1950年には朝鮮戦争が勃発する。これによって、朝鮮は北朝鮮と韓国とに分断される。朝鮮戦争が休戦に入ると、次にくるのは李承晩、朴正煕、全斗煥と続く独裁体制の社会だった。何度も繰り返される解放のための蜂起。すでに1948年に済州島で4・3蜂起が起こっている。⇒2024/01/26
おさむ
35
隣国ながら勉強不足の韓国に関する現代史を学び直そうと斜め読み。忘れがちなのは、戦後、朴正煕、全斗煥と二代の軍事政権が四半世紀にわたり続いたこと。民主化からまだ30年しか経っていない国であることは、韓国の不安定気味な政治を考える上で重要な要素であると感じた。冷戦の終結でつい忘れがちだが、朝鮮は米ソの分割占領により国が二分した。日本も一歩間違えば同じような状況になっていた。加えて、1965年の日韓基本条約が今なお混乱の火種になっていることなど、歴史に学ばなければならない点が多々あると感じた。2017/11/26
崩紫サロメ
26
先に著者の『文在寅時代の韓国』を読んだが、そこまでの時代を中心に扱っている。朝鮮王朝末期、植民地時代、独立、軍事政権時代、民主化、そして……というところ。あとがきに、旧版では進歩派政権下で民主主義や人権が謳歌される「ハッピーエンド」として語ったが、その後十年余りの韓国、そして日本のバックラッシュの部分が加筆されている。たとえば歴史認識において、日本の極右と結びついて植民地支配肯定論など、ニューライトの運動も紹介されている。旧版の方とも読み比べてみたい。2021/01/17
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