内容説明
四年に一度の政治のリニューアル.最古のデモクラシーであるアメリカ大統領選のイロハから,活力漲る予備選・本選での現場ルポ,二極化する現代社会の縮図としての大統領選の闇までを描く.トランプ大統領の再選を占う選挙を控え,第一線の著者たちがその見どころを示す.
目次
はじめに┴第1章 アメリカ政治のリニューアル┴1 大統領制とは何か┴2 大統領選と政党政治の歴史┴3 大統領選の基本┴第2章 予備選の現場を歩く┴1 立候補表明┴2 予備選開始┴第3章 本選の現場を歩く┴1 全国党大会┴2 頂上決戦┴ロングインタヴュー(スティーブン・レビツキー) アメリカの民主主義と大統領選┴第4章 二極化する社会と大統領選┴1 さまざまな分断線┴2 変化する大統領選挙の構図┴終章 2120年の大統領選挙┴あとがき┴大統領・副大統領一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
105
昨日から二日かけて読み終えたが米大統領選は決着がついていない。本書は大統領選の仕組みや歴史を記し、共和、民主両党の支持層の変遷について述べる。今回の選挙はコロナの影響で、かつての選挙日程や運動の内容と異なるので、主に前回2016年の選挙を振り返る形で解説。従って、現状に対する分析は深くはないが、基本的な事柄を丁寧に説明しており良く理解することができた。赤い州と青い州。保守とリベラルの中身と内容。経済争点での保守と社会争点での保守は違うことなど。アメリカを分断する価値観の違いは大きく、それは深くなるばかり。2020/11/05
サアベドラ
36
4年に一度のアメリカの政治的熱狂の具体的プロセスを解説した新書。政治学者とジャーナリストの共著。刊行は投票直前の2020年10月。選挙の仕組みから、2016年選挙での様子と両党支持者の声、専門家インタビュー、各種データなど必要十分な情報がまとめられており、これ一冊で大統領選挙の基本的な部分が学べる。ただ各種メディアでそれなりに情報を追いかけている人、特に現地メディアを読んだり聞いたりしてる人はわざわざ手に取る必要はないかもしれない。終章の未来予測(トランプ2と3が登場)はちょっと面白かった。2021/01/19
kawa
32
24年大統領選が話題になり始める時期に選挙概要を一読。内容的には、様々なメデイアの既報が多いような感もあるのだが、まとめて整理、分断が深刻化していることが理解できる良書。民主党→大きな政府、多様性重視、外交重視、都市住民・マイノリティー支持。共和党→小さな政府、伝統重視、軍事力重視、地方や低学歴白人層支持。2045年には白人人口が50%切り。中間選挙は政権側に厳しい結果、等々。冒頭に掲げられる州地図、東部、西部、南部、中西部等の位置関係が理解でき重宝。デスクサイドに常備、この際だから覚えてしまおう。2022/11/16
崩紫サロメ
31
近年のアメリカ大統領選挙をとりあげ、そこからアメリカ大統領選挙の本質について考える新書であるが、第一章で、大統領制とは何か、についてわかりやすく説明しているのが面白い。大統領と官僚制の関係を日本の首相と官僚の場合と比較し、アメリカは政権交代では無血革命と言えるほど政府高官が入れ替わるが、日本の場合は首相や党派より所属する省庁に官僚の忠誠心が無垢、などなど。具体的なパートとしては2004年にケリーの応援演説で分断 では無く統合を呼びかけたオバマが、後にネガティブCMを行うようになった話は何とも悲しくなった。2020/11/26
yyrn
26
アメリカ大統領選挙制度の詳細と231年間にあった選挙前後の社会の大きな変革を紹介しつつ、分断の危機にある現在のアメリカ社会を紹介する本。▼1960年ごろまでは二大政党のどちらもキリスト教・白人が主導し大きな違いはなかったが、公民権運動やベトナム戦争を経て、中南米からの移民の増加により、民主党=黒人、移民、都市部の世俗的白人が支持→リベラル。共和党=キリスト教、白人(=あらゆる分野での支配層)が支持→保守、という違いが鮮明になったとし、キリスト教・白人が人口の5割を割りそうな状況の中で、古き良きアメリカが⇒2020/11/11