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内容説明
遠い昔…そこに夢の楽園があった―――。 「美和」が売られて行く夜、亡くなった美和のお母さんが美しい火の玉になっておくり出した…。目に見えなくとも何かいる…。著者の原体験を描く感動の少年時代。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
76
その後の妖怪一筋の人生を決めてしまったほどの影響を及ぼした人物。それがのんのんばあ。今なら民俗学の文脈で語られる怪異を元に、何かとしげる少年を助けていく。時代が昭和初期である悲しさ。人身売買で別れていく少女の身の上がやりきれない。現実とはちがうだろうが、ある種の納得でラストを迎えるところに、作者の思いを見たような気がした。小説版の15年後に書かれたコミック。TVドラマにもなったそうで、水木先生にもよほどの思い入れがあったのだろう。2019/09/19
NAO
43
のんのんばあは、家の中や藪や森、川などに住むお化けや妖怪などの見えない世界の生き物を信じ、そういった精霊たちと一緒に生きていた。水木しげるも多分に霊的な存在に敏感な気質を持っていたのだろうが、それがのんのんばあの影響でさらに深められ、幼い頃から精霊たちの世界をさまようようになったようだ。当時は一歩家を出ると豊かな自然が目の前に開け、まだ人間の手が加えられていない神秘的な世界が果てしなく広がっていたから、しげる少年は目に見えない精霊たちを素直に受け入れることができたのだろう。⇒2025/11/19
はやしま
27
2015年11月30日、水木先生大往生の報せに接して読み返す。水木先生の子ども時代、昭和初期の地方のノンビリした様子。妖怪と家族と友だちとのんのんばあとの日々。今のように物や情報はないけど物質的なこととは違う何豊かさを感じさせるお話。多くの方と同様、私も先生にはただただありがとうございましたという気持ち。実は大の水木ファンで作品や言葉からいただいたものは多い。境港にも行ったけど、先生がのんのんばあから妖怪話を聞いたお寺で天国と地獄の絵を見なかったのが心残り。どうぞ安らかに。2015/12/01
tama
23
図書館本 水木ファン マンガの本です 92年講談社の1・2巻に分かれたやつ 水木さんはいろんな作品にこの頃のことを書いてて私は「昭和史」で読んでいた。しかし、全然別物の趣です。どこまでが事実か(主人公は村木しげる)知りませんし知らなくても問題なく楽しめる。絵が綺麗。特徴的な細密背景も素敵です。昔は穴を掘ったらお地蔵さんが出て来て、村を上げてお祭りとかってあったんですねぇ。人の心はいろんな魂が宿るから成長する。のんのんばあの素晴らしい言葉。水木さんの喪失感一杯の絵が特に好きだなぁ。2016/09/05
三柴ゆよし
19
全日本人必読。オレのこれまでの人生を決定づけた漫画といっても過言ではない。寝物語に妖怪を語り、神仏とみれば手当たり次第に拝む。のんのんばあはいまや失われた日本人のアルカイックな思想を一身に体現している。また本作は、水木しげるが稀代のストーリーテラーとしての腕を存分にふるった作品でもある。松っちゃん、千草さん、美和との短い恋愛はいずれも切ない結末を迎えるけれど、そのたびに成長してゆく茂少年の姿には、何度読んでも感涙を禁じえない。放蕩者の親父がまたいい味出してるのよ。ちなみにドラマ版では岸部一徳の名演が光る。2010/05/30
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