中公選書<br> 大航海時代の日本人奴隷 増補新版

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中公選書
大航海時代の日本人奴隷 増補新版

  • ISBN:9784121101167

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内容説明

戦国時代の日本国内に、「奴隷」とされた人々が多数存在し、ポルトガル人が海外に連れ出していたことは知られていた。しかし、その実態は不明であり、省みられることもほとんどなかった。ところが近年、三人の日本人奴隷がメキシコに渡っていたことを示す史料が見つかった。「ユダヤ教徒」のポルトガル人に対する異端審問記録に彼らに関する記述が含まれていたのだ。アジアにおける人身売買はどのようなものだったのか。世界の海に展開したヨーロッパ勢力の動きを背景に、名もなき人々が送った人生から、大航海時代のもう一つの相貌が浮かび上がる。
増補にあたっては、豊臣秀吉の朝鮮出兵によって大量に連行された朝鮮人捕虜、その捕虜たちの扱いに直面したイエズス会、さらに、長崎に連れて来られたアフリカ人奴隷など、アジアにおける奴隷貿易の実態をさらに深く紹介する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

チャーリブ

30
1587年、秀吉が「バテレン追放令」を出したのはポルトガル人がおおぜいの日本人を奴隷として海外に連れ出しているのを防ぐためだと言われている。本書は、その日本人奴隷について、ポルトガル人研究者の学術書をその妻・岡美穂子氏が改案したものである。当時の日本人奴隷をめぐる状況を知るには格好の1冊。⇒2022/03/31

MUNEKAZ

21
16世紀末から17世紀半ばにかけて、「奴隷」として海外に渡った日本人を紹介した一冊。藤木久志氏の一連の著作で、戦国期に行われた捕虜や乱捕りによる人身売買の様子は知っていたが、これはその拡張版のような内容。「年季奉公」として身売りされた日本人が、海外商人には「奴隷」として扱われ、アジア各地をはじめ南米や南欧地域にまで拡散していく様子は興味深い。また日本でもとくに長崎や平戸を中心に、多様な人種の奴隷が存在していたことにも驚かされる。現代の感覚では捉えきれない、近世のグローバルな側面を知れる良書だと思う。2021/02/14

さとうしん

21
旧版からの再読。新版では補章を加え、イエズス会と奴隷貿易との関わり、朝鮮出兵によって発生した朝鮮人奴隷の存在などを議論する。年季奉公も含めた、日本でいう「奉公」がヨーロッパ人で奴隷契約ととらえられたが、当事者も含めて日本人はそのような理解をしていなかったという議論が興味深い。この「奴隷」をめぐる認識の齟齬が慰安婦問題など、現代に至るまで重大な影響を及ぼしているのではないか。2021/01/29

hal

20
大航海時代に海外へ渡った日本人奴隷の記録を紹介している。大体が戦争捕虜のようですが、中には年季奉公のつもりでいたら奴隷とされてしまって、訴訟を起こした人もいたとか。キリスト教の洗礼を受けてポルトガルかスペイン風の名を与えられるので、記録を追うのも難しいらしい。思った以上に多国籍の人が広い範囲を移動しており、以前観たエリザベス1世の映画に東洋系の侍女がいて「ありえないんじゃ?」と思っていたが、ありえたんだなと驚いた。2021/02/11

uniemo

18
16世紀から17世紀ごろ奴隷として海外に身売りされた記録に残っている日本人について調査した歴史書。そもそも長崎など国内に様々な国の奴隷が日本に存在していたことにも驚いたのですが、日本人も奴隷としてアジアからヨーロッパや南米にまで連れていかれた記述は興味深かった。悲惨な拷問を受けた女性の記録も、傭兵として戦った男性の記録もあるようです。帰国できることは殆ど無かったであろう彼らはどのように故国を思い生き抜いていったのだろうかと思いました。2021/03/07

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