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内容説明
「非」フィクションとして出発した一方、ニュースのように事実を伝えるだけでもないノンフィクション。本書では、水俣病を世に知らしめた『苦海浄土』、ベストセラー『日本人とユダヤ人』に始まり、『テロルの決算』や『捏造の科学者』、大震災や核密約を扱った作品など、一九七〇年代から現在に至る名作・問題作を精選。小説とも報道とも異なる視点から同時代を活写した作品群を通して現代日本の姿を浮き彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
74
ノンフィクション執筆の際の手法に着目して読んだ。フィクションとノンフィクションの距離は想像以上に近い。現実をそのまま言葉にするということがどれだけ可能なのか。必ず著者のバイアスのフィルターを通ってくるわけだから、簡単なことではない。一回読んだだけでは勿体ない内容なので、いずれ再読して突き詰めて考えてみたい。2020/10/25
trazom
68
ノンフィクション・ファンには嬉しい一冊。「ノンフィクションは「事実的な文章」か「物語的な文章」か」「ニュー・ジャーナリズムの三人称の視点」「ノンフィクションとアカデミズムとの関係」「中国の「春秋」は、事実関係を淡々と記述する「徑」と、その解釈である「傳」」など視点から数多くの作品が論じられ、とても刺激的で面白い。石牟礼道子さんの「苦海浄土」が、ルポでも聞き書きでもない「創作」だという指摘は承知しているが、山崎朋子さんの「サンダカン八番娼館」の取材方法への批判が一切ないというのは、片手落ちではないかと思う。2020/10/26
hatayan
44
大宅賞の生まれた1970年以降の作品から特筆すべきものを紹介。ニュージャーナリズムを普及させた沢木耕太郎への賛辞は誰もが頷くところ。しかし、震災の現場を取材せずに既存の文献を引き写した北条裕子『美しい顔』の評価がなぜ高いのか、底辺の女性史を発掘した山崎朋子『サンダカン八番娼館』をステレオタイプと切り捨てるのはどうなのか、大宅賞とサントリー学芸賞を受賞した作家に言及するならば、主要なNF賞を総なめにした角幡唯介に触れてもよかったのではないか。新書の紙幅に限界があるせいか、食い足りないところが残る一冊でした。2020/10/01
ころこ
38
事実と物語るというノンフィクションというジャンルの定義にこだわっていて、『苦海浄土』から始まるように批評性を維持している意図が明確な良い本です。『苦海浄土』はフィクションとノンフィクションの間にあり、3.11後に再評価されるべき本です。『日本人とユダヤ人』は文化論ですし、若い人は本多勝一を知らないでしょう。紹介された作品はその時の時代を刻印しており、内容だけでなく当時の社会にそれがどの様に受け入れられたのか、現在と当時とのギャップにも時代が現れています。『美しい顔』が剽窃と断じられた基準も『苦海浄土』とど2020/10/01
gtn
31
イザヤ・ベンダサンこと山本七平氏が、「アラビア遊牧民」取材時にイスラムに改宗した本多勝一氏を批判する。信仰する宗教をとっかえひっかえすることができると信じて疑わない本多氏に、日本人が抱え込んだ問題の深さにつながる禍々しい"何か"を山本氏が感じ取っていると著者。おそらくそれは正しい。無節操な宗教観は、自分には絶対守るべき哲学がないと告白しているようなものであり、無責任や独善にも通ずる。反体制を売りにしていた本多氏への受けが、時代とともに変化したように感じるのもそれが原因か。2021/02/27
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