中公新書<br> 法華経とは何か その思想と背景

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中公新書
法華経とは何か その思想と背景

  • 著者名:植木雅俊【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 中央公論新社(2021/02発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026163

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内容説明

『法華経』は、釈尊入滅から約五百年後、紀元一世紀末から三世紀初頭のインド北西部で誕生したとされる。日本には六世紀半ばに伝わり、『法華秀句』を著した最澄や「法華経の行者」を自任した日蓮から、松尾芭蕉、宮沢賢治に至るまで、後世に広く影響を与えた。本書では、サンスクリット原典の徹底的な精読を通じて、「諸経の王」とも称される仏典の全体像を描き、平等な人間観に貫かれた教えの普遍性と現代的意義を示す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

48
「100分De名著」の出演者は、放送を種にして、その後にもう少し詳細な新書を出版することがあるが、本書もその一冊だ。橋爪大三郎との対談本『ほんとうの法華経』もあわせて読むとなお分かり易い。著者の目指しているのは、文化としてのいわゆる「お経」ではなく、思想としての法華経の研究というスタンスだ。一神教に比べると弱いテクスト論では、釈尊の教えを改竄している小乗の方こそ非仏説だ。法華経は釈尊の直説ではないが、女性差別や人種差別を否定していて、釈尊の原点に帰る、原始仏教に帰るという意味で思想的には仏説なのである。2023/02/15

kk

21
妙法蓮華経の本質ついての著者の理解を世に問う一冊。絶対的平等主義や人間尊重主義をこのお経の大切なメッセージとして捉え、当時の教団の堕落や教義の変質などに対するアンチテーゼとして原初仏教の教えへの回帰が提唱されているとの考え方。法華経の中心的なテーマとされる「久遠実成」とは瞬間即永遠という気付きであると説いています。こうした受け止めが当を得たものなのかどうかkkにはわかりませんが、法華経の理解に向けて、一つの大きなヒントを貰えたように感じています。2022/07/20

nishiyan

17
長年、仏教研究に携わり、法華経の現代語訳を手掛けている著者による「法華経」についての新書。比較的古い文献を元に法華経成立までの歴史、法華経の各項目ごとの解釈と論述しているのだが、通説を紹介することで著者の考えを示す構成になっている。新書らしい硬い作りは入り難いのだが、繰り返し読むことで味わい深くなってくる。興味深かったのは変成男子に関する論考。方便としての女性が男子となって成仏するという指摘は面白かった。著者訳の『法華経』もぜひ読んでみたい。2020/12/25

はちめ

16
これまでの植木氏の著作と変わった内容はなく、より読みやすくなっている。植木氏は法華経の優れた翻訳者であり研究者であり、また原始仏教の良き理解者でもあるが、植木氏の法華経解釈はあまりにも原始仏教に寄りかかりすぎていると思う。法華経編纂者達がゴータマ・ブッダの真実の教えを取り戻そうと考えていたのはそのとおりだとしても、その教義はあくまでも当時の大乗仏教的な教義であり、小乗仏教との戦いということもあり、原始仏教がもつ素朴な教えからは遠いものでしかありえなかったと思う。☆☆☆☆☆2020/12/29

新父帰る

14
2020年11月刊。法華経に関しては、今まで幾冊か読んできたが、この本が最も分かり易い本だった。同著者の法華経の現代語訳上下を1年くらい前に読んだが、正直例え話が何を意味しているのか、各品の意義とは何なのか各々の品の関連性をどう理解したらよいのか良く分かっていなかった。勿論、本書の解説にはサンスクリット語からの意味について随所に引用され、また既刊の他の著者の書籍についての批評にも触れている。本書での収穫は、如来寿量品と常不軽菩薩品が極めて重要であることに気付かせてくれたことだ。平等主義と人間主義が根幹。2022/04/18

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