中公新書<br> 物語 東ドイツの歴史 分断国家の挑戦と挫折

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中公新書
物語 東ドイツの歴史 分断国家の挑戦と挫折

  • 著者名:河合信晴【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 中央公論新社(2021/02発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026156

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内容説明

ドイツは第二次世界大戦の敗北後、東西に分裂する。ソ連の影響下、社会主義国として四〇年にわたり存在したのが東ドイツである。東西統一後、東ドイツは、非人道的な独裁政治やシュタージといった秘密警察の監視など、負の側面ばかり強調されてきた。本書は、ベルリンの壁崩壊後に明らかになった史料から、楽観的で無責任な指導部、豊かさを求めて声を上げる民衆など、壁の向こうの実験国家の実態と全貌を描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

旅するランナー

222
東ドイツの40年を国家社会主義体制=悪の抑圧体制というステレオタイプではなく、客観的に実態と全貌を明らかにしていく。(東独)ウルブリヒト・ホーネッカー、(ソ連)スターリン・フルシチョフ・ブレジネフ・ゴルバチョフ、(西独)シュミット・コールらの関係性の変化、政治体制・政策の変遷、周辺国との関わりなど、時代の流れが分かりやすいです。でも、やっぱり、こんな実験国家の物語の中に放り込まれたら、たまらないですよね(*・`o´・*)ほーでっかー...?2021/04/24

kinkin

120
第二次大戦後東西に引き裂かれたドイツ。西側は発展する一方で東側では経済政策の失敗と工業化の遅れでまさに対照的。それでも東ドイツは非人道的な監視国家として1991年のベルリンの壁の崩壊まで続くことになる。随分昔テレビ番組でシュタージ秘密警察の実態を扱ったのを見たことがある。隣同士が知らずにお互いの監視を行っていたという。それほどまでにこの国は何を恐れたのか、統一後のドイツについても僅かではあるが書かれている。このあたりはドイツ全体の歴史を学ばなければならないと感じた。図書館本2022/06/06

ばたやん@かみがた

105
《興味深い問題提起と懐疑する点と》(1)ドイツの現体制正当化する「'89-'90東独はめでたく西独の元に返った大団円」ストーリーに批判的な著者による通史。従って、東独内の抑圧的仕組みについて否定的側面からのみ断罪するよりも、体制と国民が如何にそれを相利共生するかたちに作り換えて行ったかに力点がかかります。その過程で、具体的な方策示すことなく「西独に追いつき追い越す」という夢を撒き散らす党指導部の無策・無責任さが浮き彫りにされます。一方でその指導部のキャンペーンを当然視し食料品、エネルギー、家賃(1/6)2022/12/31

佐島楓

82
本書を読むといかに自分がのほほんと生きてきたか実感できて苦しくなる。なぜ国民の生活をコントロール可能だなどと思えてしまえるのか。ほころびだらけの政策を押し付けて、経済的な格差をつくり、現実を見ず、自分たちは安全地帯に逃げる。民は結果的に受けた傷を一生抱えていなければならない。壁があってもなくても、多かれ少なかれどこの国も同じか……。2021/04/10

skunk_c

75
著者はベルリンの壁崩壊時に13歳!旧東ドイツにある大学で現代史を学んだ成果が本書。この手の本はともすると政治の動向が中心になりやすいのだが、リアルタイムでない分史料からの読み取りや統計を上手く利用し、特に人々の生活を可視化しようとの工夫は、概ね成功していると思った。政治については特にソ連との関係が興味深かったが、今度はソ連側から見た「社会主義国の優等生」東ドイツの本を是非読んでみたい。いくつか挟まっているコラムも面白い。「壁の崩壊」については他者の指摘通り岩波新書『ドイツ統一』を併読するのが良いと思う。2020/12/02

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