内容説明
芸術家たちは大震災にどう向き合ったか
大震災を、映画監督、写真家、演劇人、小説家はどう受け止めたか。未曾有の惨事に芸術は有効か。表現活動の最前線に相対する批評。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
66
福島原発事故以後の小説映画演劇などの表現についての批評の雑誌連載を事故から二年後に本にしたもの。圧倒的な前代未聞の現実に対抗するには表現者は何が可能なのか、という難問に、ありきたりな言葉ではなく、なんとか答えを出していく、日本や世界の表現者たちの表現の営みを著者は取り上げていく。正直、著者にとってもはっきり考えがついていないと予想されることであり、まとまりに欠けるが、一つの記録として。2017/08/31
しゅん
14
3・11「以後」の世界に対しそれぞれの分野の藝術家がどう向き合ったかを概観できるという点で、本書は震災により発生した切断面を鮮やかに映した貴重なドキュメント足り得ているだろう。扱われている作家は森達也、多和田葉子、阿部和重、岡田利規、畠山直哉、村上春樹などなど。「時評」の意識で書いた連載批評が常に「以後」を巡り続けたというのも興味深い。イェリネクの作品などをヒントに、当事者/非当事者という極めて曖昧な境界について何度でも考えることの重要性を説いた第3章が秀逸。志賀理江子の非リアリズムの写真も観たくなった。2017/05/10
ネムル
4
自分のなかで言葉を集めて配置し、石垣を作るに有意義な本。2024/02/09
魂の叫び
4
初めて借りました。3・11後の批評集って書いていたので興味を持ち、いざ読むと、だめだ批評集って私には合わない。何かはっきりしないし何を伝えたいのかも今一つ… 東日本大震災関連の本棚にはいれません。読んで損した。2015/05/08
子音はC 母音はA
3
3・11以後に映画監督、作家、音楽家等がどのような活動をしていたかを総括し著者の批評的視点を盛り込んだ一冊。第三章(当事者とは誰か?)が出色だと思う。クリエイターの表現を通し3・11に対する距離感を詳らかにしていく様子は鮮やか。2015/08/23
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