内容説明
パリの死刑執行人〈ムッシュー・ド・パリ〉を代々務めるサンソン家の4代目当主として、ルイ16世、マリー・アントワネット、ロベスピエール、サン‐ジュストら、3000人余を手にかけた男、シャルル‐アンリ・サンソン――
サンソン家に代々伝わる資料と直接取材を基に、フランスを代表する文豪バルザックが描く、革命期を生きた処刑人の物語を、待望の本邦初訳!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
83
フランス革命期にパリの死刑執行人を務め、ルイ十六世やアントワネット、ロベスピエールなどを含む3千人に及ぶ処刑を担当したシャルル-アンリ・サンソン。歴代処刑人を務めるサンソン家の当主たちが残した手記や日記、公文書、手紙などに加えて、一族内で語り継がれてきた逸話を集め、フランスの文豪バルザックがシャルル-アンリに成り代わり執筆した本作。未完であるだけに先が読めないことがもどかしくも、サンソン家の長きに渡る苦悩と想いを知り、切なさが胸に深く広がった。(⇒)2020/11/15
パトラッシュ
62
売れない新進作家が他人名義の本を代筆するのは珍しくないが、バルザックもやっていたとは。それも死刑執行人の家系として名高いサンソン家が題材なのだから、小説として思う存分筆を振るえていれば大傑作になっていたはずだ。しかし頼まれ仕事のためか淡々とした回想録にしかなっておらず、肝心のフランス革命で数千人をギロチンにかけるまで行かずに終わってしまったのは残念だ。不可欠な職業故に経済的には豊かながら、周囲から蔑まれ賤民扱いされる苦しい生活を送っていた内情がわかり、サンソン家の存在が逆に死刑廃止に寄与したように思える。2021/02/11
ケロリーヌ@ベルばら同盟
57
世には諸悪が蔓延り、非道に憤る民衆は裁きを求める。法に照らして断罪された人間を処刑するのは、裁判官であり、司法官であり、民衆、社会である。死刑執行人は、社会が悪を断つ為に振りかざす武器にすぎない。然るに、何故武器を振るう手は崇拝され、刃は忌み嫌われるのか…。バルザックが、パリの死刑執行人であるサンソン家四代当主シャルル・アンリの回顧録という態で、人間の尊厳、死刑廃止思想を語る。サンソン家に伝わる歴代当主の覚書や手紙に取材し、一族の歴史から、シャルル・アンリの生い立ちと、家業と社会への想いを描く前半は秀逸。2021/11/11
どぶねずみ
36
バルザックが語るサンソン。死刑執行人としてムッシュー・ド・パリと言われて生きたサンソン家。もっと生々しい話が書いてあるかと思ったらそうでもなく、途中から小説調になって読みやすかった。先月サンソンについての舞台を鑑賞して、世界史が嫌いだった私がフランス革命に多少の興味を抱いた。6代続いたとされる死刑執行人のサンソン家だが、ここでは死刑執行に関して国に改革を示してきた4代目サンソンが父親の大きな愛情を受けながら、立派な死刑執行人に巣立っていく家庭的な部分が垣間見えた。また吾郎ちゃん演じるサンソンが観たいなぁ。2021/07/10
星落秋風五丈原
35
死刑執行が法で定められた刑罰というならば、なぜ民衆はまるでスポーツ観戦でもするかのように処刑場に群がるのか。刑を決めた裁判官や、戦争で敵兵を倒した兵士には尊敬の眼差しを送られるのに、執行する者は忌み嫌われるのか。皆が嫌がる仕事であるが故に、高額の報酬が得られるが、しかし一たび職業を明かすと、自由な結婚もままならない。文字通り職業に縛られた一生となる。その悲劇的な人生は『アンリ・サンソンの手稿』で紹介される。それほど忌避する思いがあるならば、いっそ死刑を止めれば良いのに、なぜ死刑はなくならないのか。2020/11/12
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