目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙

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目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙

  • ISBN:9784845919192

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内容説明

特別解説:伊藤亜紗
(東京工業大学科学技術創成研究院 未来の人類研究センター准教授)
「怒りから、そして愛へ。これほどまでに激しく、かつ綿密に練られた本が、他にあるだろうか。それは単に美しいだけではなくて、私たちの目を覚ます重要な指摘を含んでいる。」

「どうしてヘレン・ケラーのようにできないの?」 常にヘレン・ケラーと比較されて育った視覚障害をもつ著者が、「奇跡の人」という偶像へ、怒りと異議申し立ての手紙をつづり、架空の対話を試みる!
「偉人」ではない、一人の盲目の女性としてのヘレンの姿を鮮やかによみがえらせ、抑圧から魂を解き放つ、和解と再生の創造的ノンフィクション

親愛なるヘレン・ケラー、
あなたは本当のことを語っていますか?

ヘレン・ケラーについてのあらゆる本、インタビュー、記事、その他の資料にあたってヘレンの実人生を研究しつくしてきた著者が、ときに視覚障害当事者としての自らの境遇や思いと重ね合わせながら、ヘレン・ケラーの人生の様々な局面を浮き彫りにしていく。これまで公に考えられてこなかった一人の女性としてのヘレンの喜び、苦しみ、悩み、挫折、野心、さらにはある「疑惑」や性の問題、秘めた恋愛、恩師サリヴァン先生との関係性などのセンセーショナルな側面、そして誰もが避け得ない喪失と老いと死について……ヘレンと著者が二人でたどる道行きとその果てに見えた光景は、苛烈で痛快、魂ゆさぶる再生の物語であった……。

本書は奇跡の人「ヘレン・ケラー」伝説に切り込み、けっして語られなかった彼女の内心に肉迫しようとする、著者渾身の試みである。著者から休む間もなく語りかけられる読者は、ヘレンになりきったかのような、新しい読書体験をすることだろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

87
「どうしてヘレン・ケラーのように出来ないの?」と言われて育った視覚障碍者によるヘレンへの手紙である。原題はBlind Rage。怒りに満ちている。ヘレンの数々のスキャンダルを暴き、どうして聖人の役割を完璧に演じ続けるのかと非難する。意図的な情報操作でヘレンを操るサリヴァン先生をも糾弾する。しかし、「奇跡の人」という神話を剥ぎ取る露悪的な手紙が、徐々に、すべてをわかった上で演じ続けたヘレンの人生の悲しさに寄り添ってゆく。同情や過保護に甘えることなく生きている著者が、ヘレンと和解する結末は感動的。いい本だ。2021/01/17

かさお

34
「どうしてヘレン・ケラーのように出来ないの?」盲人である筆者は、こう言われる度にヘレンに文句を言いたくなったという。親愛なるヘレン、三重苦を克服し、小説家、事業家、慈善活動、シンボルとして成功し神話となった貴方へ、でも貴方は本当の事を語っているの?先生と貴方と彼の本当の関係は?偶像化した世間への憤りは?盲人である筆者だからこそ描けるリアルな触覚と嗅覚の描写。リアルなヘレン像はけっこう衝撃的。奇跡の後にも日々はあった。そしてサリバン先生が死ぬまでの共依存的な関係性には正直ゾッとした。創造性ノンフィクション。2022/04/26

たまきら

33
「どうしてヘレン・ケラーのように出来ないの?」…なんてことだろう、そんなふうに比べられたなんて…。著者の怒りは正当なものでしょうし、弱視の立場からのことばにはそれなりに重みもありました。けれどもヘレン・ケラーへのねちねちとしたからみ方は正直不愉快。陰にこもっていて読んでいると悲しくなってこちらが病みそう…。偉人=幸せではないという事実に著者が行きつくまでの岐路を重く受け止めました。溜息。2021/01/26

くさてる

22
題名から想像したのは、偉人であるヘレン・ケラーへの手紙という体裁をとった、視覚障碍者の生活に関するエッセイとかそういうもの。とんでもありませんでした。視覚障害を持つ教育者である著者が、ヘレン・ケラーの人生を現代の女性の観点から見つめ直し、憑依するかのような勢いで再構成していくエネルギッシュな取り組みです。ヘレンと恩師の関係、あの時代に障碍者として生きることについての生々しい実感をともなう文章は読みごたえがあり、素晴らしかったです。「ウォーター!」のイメージとは違ったヘレン・ケラー像がここにあります。2020/11/11

marumo

21
ヘレン・ケラーは悪霊だそうで。目の見えない人が「どうしてヘレンのように頑張れないの?」と言われるとか。ヘレン・ケラーが盲人のハードルをおそろしくあげてしまっていると言うのですが、はえ〜という感じ。アルアルなんでしょうか…。盗作疑惑事件のときにヘレンが優等生的に振舞ったことへの苛立ち、性について生々しさが欠けることへの不信などなかなか攻撃的です。ここまで書くなら、もうヘレンになりきって返信も自分で書いてみたら面白かったのに、と思いました。違和感も覚えましたが、意外な角度から偉人を見ることがてきました。2021/01/11

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