内容説明
緊急事態宣言が明けて2020年も夏を越え、大学時代の親友の夫とその息子と、紀伊半島のツーリングに出かけることになった。若くして命を落とした親友との約束を果たすため、そして、ひとり親で育った息子が母を新たに知るため。就職氷河期世代が親になっての心情もそこはかとなく漂うハートウォーミングなロードムービー風の小説が本書。日常の景色だけでなく生活スタイルも変わってしまった。変わらざるをえなかった。リセットするにしても、調子を取り戻すためにも、記憶の底に押し込めてしまった大切なものをもう一度見つけ出して、新たに前に進もう。コロナ禍でぽっかり出現したつかの間の人生の空白期間。みーんな元気の在庫がなくなった。でも、だから……3人それぞれが生きるために必要なささやかなものを見つけた、数日間の旅の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
39
緊急事態宣言が明けて2020年も夏を越え、若くして命を落とした親友との約束を果たすため、大学時代の親友の夫とその息子と一緒に紀伊半島のツーリングに出かける数日間の旅の物語。予備校のチューターとして再会した親友の息子。様々なものが変わってしまった中で、日常にかまけて放っておいた大切なものを確かめに自転車で思い出の旅に出る展開で、強烈過ぎてかえって忘れてしまうことってあるんですよね…。昔とは違う部分も懐かしく思いながらの旅は年齢を重ねていくと簡単にはできないですけど、いつか自分もしてみたいと思える物語でした。2021/03/23
信兵衛
30
何はともあれ、こうした旅の話を読むと、旅に出たくなりますねぇ。2021/03/07
のりすけ
21
みんなで紀州を走るよー。自転車で。マジか?死ぬわ。真っ先に思ったのがそれ。なんでか自分にゆかりのある土地や学校がポコポコ出てきた割にはのめりこめず。令和のサイクル野郎やな、しらんけど。2022/03/06
まひろ
14
初読みの作家さん 同年代の女性のせいか、文体が妙になじんだ。 堅苦しくなく、ゆるすぎず。 きっかけはライダーズハウス「ユーカリ」からの手紙 大きくなった息子がかつて母が辿ったコースを体現し、 その、ツーリング日記に記された謎を解くべく 父親と母の大学時代の親友であり現予備校のチューターでもある主人公を説得して旅にでる。 自転車のツーリングの経験はなく、メンテナンスの話はさっぱりだったけど、装備も、ルールもしっかりしていてハードなスポーツなんだな。 イノセントというより、ノスタルジックな物語でした。2021/03/30
はじめさん
13
予備校で働く中年女。母と死別し、父は休職中という受け持ち男子高校生が辞めようと考えてるらしい。経済的な問題とか色々あるだろうけど、いまの時代、行けるなら大学くらい出てた方がいいーーと考えるのは、件の生徒の両親とは大学のサイクリング部で一緒、特に母親とは親友だったという過去もあるから。親戚のオバちゃん的なお節介気分もあるが、かつて親友と2人で走破した紀伊への旅を、今度は教え子とその父と。年代ものクロモリランドナーに跨りペダルを踏み、かつての青春時代に想いを馳せる。過去と同じ旅路のなかで再会する様々なメモリー2024/01/08
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