内容説明
日本語は、明治以来の「西洋の衝撃」を通して、豊かな近代文学を生み出してきた。いま、その日本語が大きな岐路に立っている。グローバル化の進展とともに、ますます大きな存在となった“普遍語=英語”の問題を避けて、これからの時代を理解することはできない。われわれ現代人にとって言語とはなにか。日本語はどこへいくのか。第8回小林秀雄賞受賞の意欲作が、大幅増補で待望の文庫化。
目次
一章 アイオワの青い空の下で〈自分たちの言葉〉で書く人々
二章 パリでの話
三章 地球のあちこちで〈外の言葉〉で書いていた人々
四章 日本語という〈国語〉の誕生
五章 日本近代文学の奇跡
六章 インターネット時代の英語と〈国語〉
七章 英語教育と日本語教育
あとがき
文庫版によせて
注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
81
水村美苗といえば、夏目漱石の未完に終わった『明暗』の続きを書いた『續明暗』で有名だし、我輩もそのことで存在を認識した。いつかは読みたいと思いつつ果たせず来た。本書は、「日本語は、明治以来の「西洋の衝撃」を通して、豊かな近代文学を生み出してきた。いま、その日本語が大きな岐路に立っている。グローバル化の進展とともに、ますます大きな存在となった“普遍語=英語”の問題を避けて、これからの時代を理解することはできない。」というもの。 2021/08/21
takaC
62
日本語の定義は何だろう。2017/04/30
kana
51
本書により、日本語が亡びることへの危機意識以上に日本語が今こうして当たり前に存在する奇跡について考えさせられました。日本語を扱う仕事に携わる全ての方にお薦めしたい1冊です。たとえば小説でその文章に胸を打たれて、身悶えしたり、陶然としたり。日本語はコミュニケーションをとるための一言語というだけではなく、私に数多くの至福の一時を与えてくれました。その日本語は数々の歴史的偶然と先人の並々ならぬ努力の賜物だったのです。「三四郎」をそうした日本語の確立期の日本人の苦悩を描いた作品として読み直す面白さといったらもう!2015/07/12
いちねんせい
46
半年ほど前に一度読み始めたものの、寝る前にはとても読めないと思いそのままになっていた。こういった種類の本の中では、今まで読んだ中で最も衝撃的であり大きなショックを受けた。普段当たり前のように使っている漢字かな交じり文が、もしかしたらローマ字表記になっていたかもしれなかったなど、恥ずかしながら知らなかったことが多すぎる。 国語の本が薄いことなんて、海外に出るまで疑問に感じたこともなかった 。日本語が現地語になる日が来ないとはいえない。 もっと日本の近代文学や古典を読む 。まずは『三四郎』を再び。2019/01/16
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
38
「言語」に関する本は哲学論考も含めて何冊か読んだことがあるが、これほど深く思考したのは本書が初めてかもしれない。 無思考に英語学習の重要性を謳う人々は、ここまで深く考えた上で主張しているのだろうか。単なるマウンティングではないのだろうか。本書を読んだ後だと、疑念を呈さざるを得ない。 英語のみならず、言語を論ずる立場にある人はぜひとも本書を読むべきだと思う。2019/08/18
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