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内容説明
アメリカの社会、政治、外交を考える上で、宗教、すなわちキリスト教の役割ははずせない。伝統的なキリスト教が衰退する一方で、プロテスタントの非主流派「福音派」が政治化・多様化し、それがトランプ前大統領誕生へとつながり、世界に大きな影響を与えたのだ。福音派の歴史や信仰から現代社会に与える影響、アメリカでの宗教ロビーの役割をわかりやすく解説。新型コロナ感染症に対するカトリック、福音派の動きや、2020年大統領選挙に与えた影響も盛り込む。
目次
はじめに
第一章 トランプ再選の鍵を握っていた「福音派」
五月に起きた「ブラック・ライブス・マター」暴動
聖書を原理主義的に解釈する福音派
白人ナショナリズムと結びついた福音派の歴史
トランプを支持した福音派の労働者階級と中流の白人たち
州や地域による人種差別と宗教差別の違い
福音派カリスマ牧師たちとメガ・チャーチ
政治とつながってきた福音派大学の系譜
第二章 「神の国アメリカ」で高まる宗教ナショナリズム
政治以外の世界でも宗教が身近な「神の国」
人口二%のモルモン教徒と三%のユダヤ教徒の存在感
重要性を増してきた「豊かな南」
宗教保守的な状況が続く地帯「バイブル(聖書)・ベルト」
多民族国家ならではのエスニック・マイノリティ
中絶問題が政治に与える影響
宗教保守にとっての重要な争点、進化論否定
キリスト教の伝統的な道徳観に反するLGBT問題
第三章 いつから宗教票が大統領選挙で重視されるようになったのか
二〇一六年のトランプ勝利は白人の福音派が要因
カーター大統領の裏切りにより「政治化」した福音派
福音派の「偉大なる大統領レーガン」と共和党への寝返り
レーガンの福音派票動員と選挙資金集め
福音派票の取り込み作戦
ヘリテージ財団創設者によるキリスト教保守ロビーの始まり
ジェリー・ファルウェルの宗教帝国「モラル・マジョリティ」
キリスト教右派最大のロビイスト、ビリングスの暗躍
福音派を票田として最大限に取り込む仕組み
大統領選挙と共に成長してきたメガ・チャーチ
カトリックの保守化から「保守票」の形成
宗教票動員戦略のゆくえ
第四章 宗教ナショナリズムが動かすアメリカ政治
福音派が望む選挙公約を実現したトランプ前大統領
トランプ政権を支えた宗教三巨頭
白人福音派の七六%が支持したイスラム教徒の入国制限
不法移民に対抗するメキシコとの国境の壁
宗教団体の政治活動を可能にする「ジョンソン修正案」の廃案
大統領選挙に多大な影響を及ぼす「家族調査評議会」
オバマケアの廃案
「宗教の自由政策」の政治・外交的な意味
福音派の支持を狙ったエルサレムへのアメリカ大使館移転
キリスト教シオニズムの拡大とアメリカ政治への影響力
対中東政策に影響力を与える団体「AIPAC」
イスラム系過激組織を脅威とするキリスト教シオニスト
エルサレムへの大使館移転の国内外での政治的評価
保守とリベラルが拮抗する最高裁判所判事の指名
第五章 世界の宗教リーダーを目指すアメリカ「宗教の自由」外交
国際協調を重視しないトランプの唯一の連携は「宗教」
外交政策としての「国際的宗教の自由法」の起源
国連で世界に向けて宗教迫害を批判
対中国強硬外交は、「宗教の自由外交」のため
「国際的宗教・信教の自由促進行政命令」に署名
中国の法輪功信者に対する迫害
貿易戦争は宗教戦争
宗教と安全保障との関係
第六章 「宗教と科学」の対立は、アメリカをどう動かすか
トランプ支持層のキリスト教福音派は科学と対立
コロナ死者数倍増へのトランプ批判
科学に積極的なカトリック教会と現教皇と親しいバイデン
環境問題を含むバイデンの選挙公約
バイデンの「グリーン・ニューディール政策」
宗教と科学の正しい対話構築の重要性
トランプは何に負け、バイデンは何に勝利したのか
あとがき
メガ・チャーチ全米ベスト20
参考文献
感想・レビュー
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yutaro13
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崩紫サロメ