内容説明
無邪気に見える子供の心にさえ巣くう「闇」をまっすぐ見据えた身も凍る怪談と、日常と非日常の間に漂う世にも不思議な物語。
夜中、読んじゃダメ。怖いけれど懐かしい。きっとあなたのすぐそばにも、奇妙な世界が存在する。放課後の学校で「永遠の鬼ごっこ」をする少女
たち、森の奥の禁断の地、海から男を呼び続ける人魚……。無邪気に見える子供の心に潜む〈闇〉や、ふとした瞬間に迷い込んでしまった奇妙な非日常を描いた背筋も凍る作品集。話題の新装版『桜大の不思議の森』の桜大が幼少期に体験した、祭りの夜に起きた不思議を描いた「黒沼」を収録。
目次
このさき、危険区域~学校のこわい話
ランドセルの中
たたずむ少女
扉の向こうがわ
呪い
鬼ごっこ
忘れもの
聖母
黒沼
譚の部屋
ねこ屋
鬼車
再見
海を見ていた
はげ山の魔女
人魚の壷
海を望む窓辺に
春疾風
断崖
春 茶屋の窓辺にて候
文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
72
怪談とファンタシーは紙一重かもしれない。『このさき、危険区域~』学校のと云うより子供の怪談だ。その対象は小・中学生だが、案外しっかりと作られた物語で所謂子供だましな作品ではない。怖いのが苦手だと云う人にお薦めして、全然怖くなかったとちょっぴり失望されるような相反する期待に応えられるくらいの怖さがある。『黒沼』彼が大人になったときに、やはり開発を支援してしまうのではないだろうか?それともすでに街に出てしまっているか?『譚の部屋』思い付くままに不思議な話。『春 茶屋の窓辺にて候』任侠モノ…只、埋め草に…。2021/07/08
とろこ
56
面白かった。子ども向けのちょっと怖い怪談話から、大人が読んでもゾッとする怪異譚、ホロリと切ないSSまでよりどりみどり。同時収録の『春 茶の窓辺にて候』は、男性はこうした生き方に憧れるものなのかもしれない、と思った。全体的に、凄く怖い訳ではないけれど、もしかしたら本当に起きるかもしれない、と思わせる筆致だった。2021/04/05
モモ
55
小学生が怖がりそうな話から、じんわりと怖い話、そして濃厚な時代劇の脚本まで幅広い。自分が死んだことに気が付かない「忘れもの」が心に残る。他にも生と死のはざまで揺れ動く心が描かれているものが多く、怖いというよりも、しんみりとする。香月日輪さんの魅力がつまった一冊。2021/03/26
紫綺
53
新潮文庫にて読了。この世のものとは思えぬ奇々怪々なショートショートを含む怪奇短編20編。怖い不気味恐ろしい、時々ほっこり怪奇大作戦(古)。短さを感じさせない独特の世界がある。2023/04/05
あやっぴ
22
妖怪アパートでおなじみの著者で、こちらは子供向け?の怪談を集めた短編集。1つ1つが読みやすく、ちょっと不気味な話、奇怪な話にゾクゾクするものもあったけど、そこまで印象に残るものはなかったかな。ごめんなさい。私が小学生のころ、真っ暗な校舎に、持ち帰るのを忘れた白衣をとりにいった(2回も)ことを思い出した。あの時は本当に怖かった。2023/11/11