内容説明
青年、中年からやがて老年へ。人生百年時代にあっても、「老い」は誰にとっても最初にして最後の道行きなのだ。自分の居場所を見定めながら、社会の中でどう自らを律すればいいのか。周囲との付き合い方から、孤独との向き合い方、いつか訪れる最期を意識しての心の構えまで――85歳を迎えた巨匠・筒井康隆が書き下ろす、斬新にして痛快、リアルな知恵にあふれた最強の老年論!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICK KICHI
82
…筒井先生の書かれるテーマではなかった…。不良老人の痛快でパワフルさを求めてしまうファン心理があるので、今の自分が読むべきテーマでは無い。内容は至極もっとも…2019/10/25
keroppi
75
筒井康隆さんの最新刊。85歳になる筒井康隆さんが老人について語る。若い人にとっては、実感ないだろうことも、リアルに伝わってくる。私も、もうすぐ会社人生が終わろうとしているが、これからを美しく生きたいと思う。筒井康隆さんは、そんなシニアだ。「美しい老後は伴侶との融和にあり」なんてことを筒井康隆さんが言っている。理解しあえる人と一緒にいることが幸せなんだな。2019/10/18
ぐうぐう
38
先々月に『不良老人の文学論』を読んだばかりなので、『老人の美学』というタイトルからしてすでに違和感を覚えてしまう。筒井康隆流の皮肉の意味が込められた『美学』なのかと思いきや、意外とまともな論調で、そこもまた違和感だ。自身の小説に登場した老人をモデルに語る構成には「ほう」と思えるものの、そこで語られているのは、やはり真っ当な結論なので、結局のところ拍子抜けしてしまう。ただ、筒井康隆がこういう姿勢になってしまうことへの納得は、実はあるのだ。(つづく)2019/11/22
Tenouji
32
老年の課題は、抑制、孤独、死であると知る。ただ、この書には、残存する家父長制視点からの課題が書いてあるが、今後は個人主義が極まってくるので、バランスのとり方は変えないといけないな。会社の人間関係、権力構造などは大きく変わるだろう。そういえば、老年との対比で、青年の課題を並べると、開放、協力、不条理となるかなw。2019/12/02
空猫
31
「老い」について、自身の作品や経験を交えての軽めのエッセイ。老人としての知恵を働かせつつ、伴侶と仲良くし、身綺麗にしていようね、という至極真っ当な内容だった。さらりと読了。『愛のひだりがわ』は未読なので読んでみようかな。 2019/10/25