内容説明
剣の極意を求める壮絶な決闘を描き、剣豪小説に新しい息吹をもたらした会心作。剣の聖地・鹿島に生まれ、香取神道流の奥儀を極めて、17歳で武者修行の旅に出る。めざすは、諸流達人の集まる京都だ。一人の若者が古今無双の剣士と称されるまでの名勝負をリアルに描き、謎多き塚原ト伝の実像に迫る、長編力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
33
剣豪の世界は非情だなと思いました。真剣勝負、生き残るのは一人。つまり剣豪小説はハードボイルドにならざるをえない。倒した敵には、情を移すな。世に名高い塚原卜伝の一生を12の勝負で綴ります。2024/08/20
わたなべよしお
15
久しぶりの剣豪小説。津本陽は「柳生兵庫助」が大好きだったが、塚原卜伝もいいね。後期のほかの達人たちの交流ももって読みたかった。2018/10/01
わたなべよしお
13
ついつい、また読んでしまいました。読み始めると止まらないので仕方ない。剣豪小説は好物で、特に津本さんは、本作と柳生兵庫助が大好き。それにしても卜伝の時代の廻国修行って凄いですなあ。2022/05/29
一条
4
天賦の才を持つ塚原卜伝(新右衛門)が己の名声を上げるために各地の猛者達と決闘するというシンプルながらも男のロマンを掻き立てる展開がとても良かった。圧倒的な強さで切り捨てていく様が印象的だったが、時に苦戦を強いられながらも戦いの中で新たな技を見出だしたり師匠的な人物との出会いをきっかけに新境地を開拓するべく修行を始めたりする展開が少年漫画的で熱くさせられた。ただ後半になるにつれ展開がパターン化されており少し飽きてしまった。2022/07/19
せいさん
2
古今無双の塚原卜伝、刀に生きる兵法者の真髄を知る。青年期の廻国修行時から老年期までの十二番勝負、特に勝負に至る兵法者の心情の在り方の推移が興味深かった。2020/09/12