内容説明
さよなら、偽りの愛、やさしさだけの男たち。若い世代に圧倒的共感を呼ぶ、話題の青春文学――橋本くんと体をあわせている時も、ふらりと出ていってしまった恒雄を激しく求める私。奇妙な三角関係に陥った女子大生・まり子が、体の変調を自覚した時、残酷な「卒業」の季節が訪れて……。大胆な行動と湿った生理の間に揺れる、現代の愛のかたちを爽やかに描いて、騒然とした話題に包まれた、早大文芸科生の「卒業小説」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
催涙雨
49
こういうものが卒業論文として成り立ち、あまつさえ出版されとてもよく売れたというのはかなり意外な感がある。売りに出されるまでの経緯が特殊でそういったセンセーショナルな過程に注目が集まったのだと思うが、出版事情を切り離して読むと特別面白いものではない。どの角度から見たって月並みな作品である。2019/03/12
背番号10@せばてん。
27
1984年12月23日読了。79年公開の映画の主なキャストは、桃井かおり(当時28歳)、奥田瑛二(当時29歳)、主題歌作詞:寺山修司。あらすじはもちろん、忘却の彼方。1984/12/23
nonpono
22
10代で映画を見た。それから読んだ。わたしの人生の航路を決めた本である。本書は早稲田大学第二文学部文芸科の卒業制作である。小説が卒論に?わたしの第一志望になった。サクラは散るが第二志望の第二文学部の文芸科に受かり、わたしのアオイハルが始まる。始まりはすべて本書である。奇妙な三角関係を見事に描いている。映画は、桃井かおり、奥田瑛二、森本レオである。瑞々しい女の感性が炸裂した小説である。大人になりきれないけど、背伸びして、靴ずれするように自分が痛いあの頃。若さと幼さが自分も相手も無意識に傷つけた。懐かしい。2024/05/30
高橋 橘苑
22
<プレイバック 1978年> 桃井かおり主演により映画化された事は、うっすらと記憶にある。ただ当時12歳の自分には、「23歳の新人が『女の側からの性』を描いた“卒論小説”を発表」が、いかにセンセーショナルだったとしても、理解できる筈もなかった。内容的には、文学的価値は低く、現代なら通俗小説としても一顧だにされないだろう。しかし、時代を超えない風俗作品であるがゆえの空気感というか、時代への迎合感は濃厚に感じられる。先が読めない時代の、アンニュイで退廃的な雰囲気が、水中に漂う藻屑の様に本編に流れている。2016/04/10
ゆゆゆ
5
父の本棚からなんとなくチョイス。よくあるストーリーといえばそれまでですが、書かれた背景を考えるとすごいのかな。これが卒論とは…。しかし橋本くんってそんなに駄目でしょうか、かわいいのに。2013/12/17