内容説明
本書は方法論の基礎をかみくだいて説明する入門書でありながら、社会科学と歴史学のギャップを埋める最新の研究書。自分の理論に都合のいい資料しか使わない社会科学者と、狭い研究対象に埋没してしまう歴史家。両者の溝を払拭する研究法を指し示しながら、初学者向けにも基本を解説する。専門用語を易しく説明する「ショート解説」つき。
目次
はじめに
序章 歴史と理論:古くて新しい緊張関係
はじめに
1 歴史学者による社会科学者批判
歴史社会学の名著 歴史学者による社会科学者批判(1) 近代日本政治の理論と歴史
歴史学者による社会科学者批判(2) 両研究に内在する問題点
2 社会科学者の見解
狭い歴史学者の視野?
3 歴史と理論の断絶にはらむ問題
本書の目的 本書の構成
第1章 中範囲の理論:イシュー・時間・空間の限定
はじめに
1 パターンと個性
理論とは何か? 法則性と一過性?
2 「自然主義」と社会科学
3 社会科学理論の社会への影響
予言の自己否定性 予言の自己実現性 理論の現象消失性
4 中範囲の理論
イシューの限定 時間の限定 空間の限定 中範囲の理論へのひとつのアプローチ
おわりに
第2章 「説明」とは何か?
はじめに
1 「説明」に関する三つの見解
2 因果関係の解明としての 「説明」
社会科学者の因果説 歴史家による因果説
3 統合としての「説明」
4 記述としての「説明」
歴史研究者の記述説 歴史学の叙述傾向 社会科学者の記述説
5 解釈・理解としての「説明」?
文化人類学者の解釈学 ポスト実証主義と解釈学 社会構成主義者の理解説
6 二つの「説明」概念を同時に満足させる
因果説と記述説の統合
おわりに
第3章 帰納/演繹、アブダクション
はじめに
1 帰納法とその問題点
J.S.ミルの五つのカノン 実験の不可能性 自然実験という試み
帰納的飛躍:「すべてのスワンは白い」? 理論負荷性:ウサギにもアヒルにも
理論負荷性を問い直す
2 社会科学における演繹法の陥穽
前提の不確実性と結論の不確実性
3 アブダクション
アブダクションと仮説演繹法 アブダクションとさまざまなディシプリン
おわりに
第4章 構造的問いと事例全枚挙
はじめに
1 単一事例の問題点
単一事例の擁護 単一事例への批判
2 構造化、焦点化された比較の方法
ヘンペルのカラスと比較の単位
3 事例全枚挙
分析対象範囲の問題 事例を全枚挙する利点 従属変数からの選択という問題
おわりに
第5章 過程構築から理論化へ
はじめに
1 過程追跡という手法
ベイズの定理と過程追跡 理論志向 「過程追跡」の問題点 プロスペクト理論とキューバ危機
2 歴史過程の構築
現象の発端と事例の定義 プレイヤーの特定 プロセスに沿った分析
3 抽象化、比較分析から理論化へ
分割表による体系的比較 戦後日本の地域主義外交の例
おわりに
終章 さらなる議論を!
本書が論じてきたこと 本書の意義と限界
謝辞
引用文献
事項索引
人名索引
ショート解説一覧
ショート解説00-1 定性的研究と定量的研究
ショート解説0-1 一次資料と二次文献
ショート解説0-2 「プロクルーステースの寝台」問題
ショート解説0-3 中心極限定理
ショート解説0-4 経済学「方法論争」
ショート解説0-5 パラダイム・シフト
ショート解説1-1 前向きの解
ショート解説1-2 最小二乗法
ショート解説2-l D-N説明とI-S説明
ショート解説2-2 社会構成主義
ほか
感想・レビュー
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あんころもち
八八
Schuhschnabel
Mentyu
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