内容説明
複合的なアーキテクチャとしての都市は、どのような思想とかかわっているのか。また、人間形成の空間としての学校は、いかに〈教育的保護〉の問題と連関しているのか。空間構成に関する思想と実践の間に、保護文化が抱えるパラドックスを読み解きつつ、それを超えていく論理を探究することにより、「教育空間」のあり方を再検討する。
目次
はじめに
序論 教育にとってアーキテクチャとは何か
第一章 複眼の都市思想──ジンメルによる都市と人間形成
1 人間形成は都市に似ている
2 ジンメルの都市論──「大都市と精神生活」にみる都市観
3 「都市と人間形成」論 としての〈アルプス/ローマ〉論
4 都市の人間形成に関する「文化の悲劇」を超える可能性──「おわりに」にかえて
第二章 都市が教育する──「ハウス化」する社会と人間形成
1 人間形成のエージェントとしての都市
2 「ハウス化」論
3 都市のリアリティー
4 「大都市教育学」
5 挑発し続ける都市
Intermezzo1 コメニウス庭園雑感──あるいはドイツにおける教育空間論
第三章 都市を批判する都市──田園都市という「自由空間」と文化批判
1 つくられた故郷としての田園都市
2 文化批判における「リエントリー」の形式
3 「自由空間」の亀裂
4 文化批判が文化を生み出す
5 エピソード──二一世紀のヘレラウ
Intermezzo2 田園都市ヘレラウと日本
第四章 「学校共同体」に穴を穿つ──アジール論からみた新教育
1 リエントリーが生み出す「学校共同体」
2 保護原理としての「アジール」
3 「アジール」論からみた「学校共同体」
4 「学校共同体」に穴を穿つ──まとめにかえて
Intermezzo3 規律訓練論の先を思い描く
第五章 文化のアイロニーに装飾が挑む──芸術家フンデルトヴァッサーの建築思想
1 フンデルトヴァッサーの学校
2 「建築の医師」がみたユートピア
3 反フンデルトヴァッサー的思考
4 時間の迷宮
おわりに
事項索引
人名索引
感想・レビュー
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有智 麻耶
ラッシー