内容説明
これからの放送はどうあるべきか。放送を巡る制度、公共性、フェイクニュース、災害報道、テレビへの視聴者の信頼やニーズ、ネットとの競合とすみ分け、放送メディアのビジネルモデルなど、DXが進行するなか、放送メディアが抱える課題や問題を掘り下げる。日本民間放送連盟研究所の客員研究員による成果集。
目次
はしがき
第I部 放送を巡る制度と公共性
第1章 「放送」概念についての覚え書き──通信と放送の融合を見据えて[林 秀弥]
第1節 はじめに
第2節 放送と通信の区別基準──歴史的経緯
第3節 若干の考察
第4節 結びにかえて
第2章 「2040年問題」から考える放送制度[宍戸常寿]
第1節 はじめに
第2節 2040年問題とは何か
第3節 放送事業への影響
第4節 「放送を巡る諸課題に関する検討会」とのかかわり
第5節 放送制度の課題
第6節 「2040年問題」と放送サービスの未来像
第3章 2036年の放送を展望する──英国の放送事情と日本の放送政策[中村伊知哉・菊池尚人]
第1節 英国の放送事情
第2節 Britbox
第3節 英国のハード
第4節 日英の放送環境
第5節 最近の日本での議論
第6節 データ利用
第7節 AI社会
第8節 社会構造の変化
第9節 提言
第4章 サイマルキャスティング、ウェブキャスティングの国際制度比較──送信可能化からCommunication to the publicへ[菊池尚人]
第1節 イントロダクション
第2節 RADIKO
第3節 実演家の放送、同時再送信等に関する権利の国際比較
第4節 EUにおける放送とcommunication to the public
第5節 国際条約とEU指令
第6節 放送法制と著作権法制
第7節 制度改正
第8節 おわりに
第5章 放送の公共性と放送人の倫理感の生長──放送人研修の課題と可能性[音 好宏]
第1節 はじめに
第2節 「放送人」の職能理念
第3節 放送現場における「放送の公共性」の生長
第4節 日本における放送現場の研修の特質
第5節 「放送人」育成の黎明
第6節 「放送人」育成システムの発展
第7節 まとめ──「放送人」育成システムの再構築
第II部 ビジネスモデルと戦略
第6章 民間放送局のビジネスモデル──デジタル時代における新たな展開はあるか[河島伸子]
第1節 はじめに──デジタル・ディスラプションの衝撃
第2節 ビジネス環境の変化と新たな価値連鎖
第3節 ビジネスモデルの変化
第4節 民放局のビジネスモデル──3つの脅威
第5節 放送のネット配信へ──今後の課題
第6節 最後に
第7章 媒体と媒体の競争──テレビの対ネットすみ分け戦略と追随戦略[内山 隆]
第1節 媒体と媒体の競争
第2節 1950年代から70年代の映画の苦境と対応策
第3節 インターネットがもつユビキタスの思想と媒体特性
第4節 インターネットと紙媒体、音声媒体
第5節 紙と音はどう対応してきたか?
第6節 インターネットと映像媒体
第7節 インターネット事業者との競争属性
第8節 インターネット映像配信の技術的小史
第9節 放送事業──伝送路とコンテンツ
第10節 テレビのすみ分け戦略──放送型ブロックバスター戦略
第11節 ドメスティックな放送にグローバル競争
第12節 ブロックバスター戦略とファンドレイジング
第13節 テレビの追随戦略──ネット配信事業の拡充
第14節 広告市場における対ネット追随戦略とすみ分け戦略
第15節 まとめ
第III部 ニュース
ほか