内容説明
少子化により大学進学率の上昇する2010年代において、高校生が将来の展望や価値観を形成してゆく要因を、全国調査のデータ分析から解明する。社会階層論・教育社会学・家族社会学などの幅広い分野からアプローチすることにより、格差社会における高校生と母親の親子関係のあり方や、学校の果たす役割を考えるヒントを探り出す。
目次
はじめに 中澤 渉
序章 高校生の進路選択へのアプローチ
「高校生と母親調査、2012」の目的、設計、分析 藤原 翔
1 格差社会の中の高校生
2 「高校生と母親調査、2012」の概要
3 「高校生と母親調査、2012」データの特徴
4 本書の課題・構成
第I部 高校生の進路選択の実態
第1章 進学率の上昇は進路希望の社会経済的格差を縮小させたのか
2002年と2012 年の比較分析 藤原 翔
1 なくならない教育達成の社会経済的格差
2 教育達成・進路希望の社会経済的格差研究と本章の課題
3 分析方法
4 高校偏差値に対する家族と成績の影響
5 進路希望に対する家族、成績、学校の影響
6 なくならない進路希望の格差
第2章 「学校不適応」層の大学進学
出身階層、学校生活と進路希望の形成 古田和久
1 教育達成の階層間格差のメカニズム
2 データと変数
3 進路希望構造の分析
4 曖昧な大学進学層の存在
第3章 大学・短大の専門分野はどのように決まるのか
出身階層と高等教育の学科・専攻選択との関係 白川俊之
1 問題の所在
2 教育分野の選択における階層差の説明
3 教育分野と出身階層の操作的定義
4 分析結果
5 世代間関係の限られた開放化
第4章 誰が推薦入試を利用するか
高校生の進学理由に注目して 西丸良一
1 大学進学における推薦入試の位置づけ
2 入試方法を決める要因
3 定まらない進路
第5章 高校生の職業希望における多次元性
職業志向性の規定要因に着目して 多喜弘文
1 なぜ日本の高校生の職業希望は多次元的なのか
2 使用変数と分析の手順
3 職業希望と職業志向性にかんする基礎分析
4 職業志向性の類型とその規定要因
5 多次元的な職業希望を生み出す制度的文脈
第II部 高校生の進路選択と家族・ジェンダー
第6章 進学希望意識はどこで育まれるのか
母子間における接触と意見の一致/不一致に着目して 中澤 渉
1 社会化の場と意識形成
2 進路意識をめぐるこれまでの知見と課題
3 母子関係のあり方の潜在構造
4 母子関係の特徴と背景
5 母子間の進路意識――一致・不一致の背景
第7章 海外に憧れる高校生はだれか
ジェンダーの視点から 高松里江
1 若者の海外志向
2 変数の概要
3 海外志向の規定要因
4 海外志向の特徴と課題
第8章 母子間の価値観の伝達
性別役割分業の一般的規範・個人的展望に関する分析 小川和孝
1 なぜ性別役割分業意識が重要か
2 性別役割分業意識を社会学的に位置づける
3 分析の戦略と変数の設定
4 母子の意識の関連についての実証分析
5 世代間の性別役割分業意識の関連が不平等に対して意味するもの
第9章 母親の就業経歴と高校生のライフコース展望
「仕事も家庭も」という母親が子どもに与える影響 苫米地なつ帆
1 母親の働き方と子どもの意識・行動
2 母親の就業は子どもにどのような影響を与えるか
3 分析に使用する変数
4 母親がライフコース展望に与える影響
ほか
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