ウィリアム・オッカム研究 - 政治思想と神学思想

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ウィリアム・オッカム研究 - 政治思想と神学思想

  • 著者名:小林公
  • 価格 ¥15,400(本体¥14,000)
  • 勁草書房(2021/02発売)
  • ポイント 140pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326102495

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内容説明

1285年頃の中世イギリスに、オッカムは生まれた。フランシスコ修道会士として教育を受けたものの、異端審問や清貧論争に巻き込まれていく。そんなオッカムについて、法哲学者・小林公は近代的権利観念との関係から興味をもった。幅広いオッカム思想の内的連関を探って、著者40年の時間をかけてまとめあげたオッカム研究の集大成。

目次

はじめに

第一部 法・政治思想

第一章 清貧と所有
 第一節 清貧論争の展開
 第二節 ヨハネス二十二世と清貧論争
 第三節 オッカムの所有論と自然権論

第二章 バイエルンのルートヴィヒとローマ教皇
 第一節 バイエルンのルートヴィヒとヨハネス二十二世
 第二節 バイエルンのルートヴィヒとベネディクトゥス十二世(一三三四年―一三四二年)
 第三節 バイエルンのルートヴィヒとクレメンス六世(一三四二年―一三四七年)

第三章 教会論
 第一節 普遍教会
 第二節 ペテロの首位権
 第三節 十全権力と福音的自由
 第四節 教皇と世俗権力
 第五節 単独教皇制と複数教皇制
 第六節 普遍教会と啓示
 第七節 普遍教会と不可謬性

第四章 世俗権力論
 第一節 世俗的支配権の起源
 第二節 世俗的支配権の自立性
 第三節 君主制と最善の統治形態
 第四節 世俗的支配権の機能

翻訳
 (一) 「対話篇」三つの自然法
 (二) 皇帝権と教皇権
 (三) 君主は援助を受けるために、すなわち戦争の援助のために、教皇の意に反しても教会財産を受け取ることができるか

第二部 哲学・神学思想

第五章 直観的認識と抽象的認識
 第一節 把持と明証的同意
 第二節 感覚による直観的認識と知性による直観的認識
 第三節 直観的認識と抽象的認識の本質的差異
 第四節 非実在者の直観的認識
 第五節 habitusとspecies intelligibilis
 第六節 個物の抽象的認識
 第七節 habitusの原因

第六章 関係論
 第一節 関係の定義
 第二節 スコトゥスの関係論
 第三節 オッカムのスコトゥス批判
 第四節 動力因と因果関係
 第五節 量的関係
 第六節 理性上の関係
 第七節 三位一体 受肉実体変化
 第八節 共意語の意味論と関係

第七章 個と普遍
 第一節 概念実在論と実在的区別
 第二節 形相的区別と理性による区別
 第三節 形相的区別の批判
 第四節 理性による区別の批判
 第五節 非実在的普遍者の批判
 第六節 ものの定義と本質
 第七節 本質と類似性
 第八節 本質とイデア

第八章 神の予知 必然性 自由
 第一節 トマス・アクィナス―無時間的な永遠性
 第二節 ドゥンス・スコトゥス―神の意志決定と予知の確定性
 第三節 ウィリアム・オッカム―不可知論

第九章 聖餐論
 第一節 ラッタレルの批判
 第二節 実体変化
 第三節 キリストの存在様態
 第四節 キリストの体の能動と受動
 第五節 聖変化後の付帯性の存在様態

第十章 神と自然法
 第一節 ノミナリズムと絶対神
 第二節 問題の起源―アウグスティヌス
 第三節 トマス・アクィナスと永久法
 第四節 ドゥンス・スコトゥスと秩序の偶然性
 第五節 ウィリアム・オッカムとodium Dei

あとがき
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ryoma Okamura

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また教皇は、キリストが死すべき人間たるかぎりで有していたあらゆる権力を有していたとさえ言えない。王としてのキリストが有していた権力を教皇が授与されているとすれば、教皇はあらゆる人間を奴隷にし、恣意的に人々に義務を課し、或る君主の王国を自由に他の君主に委譲できることになるが、罪を犯しうる弱い人間にキリストがこの種の権力を授与したなどと考えるひとはいないだろう(pp.248-249)。2022/03/06

Ryoma Okamura

0
しかし既に述べた如く、神が自己以外の存在へと向けて行為する場合、何らかの実践的原理に拘束されると考えることは神の自由意志の否定となり、これはスコトゥスが基本的に否定するところであった。従って規範として必然的自明的に妥当するのは「神を愛すべし」という規範のみであり、その他、殺人、窃盗などを禁ずる規範は神の意志にのみ依存する偶然的な実定規範にすぎない。従って十戒の第一表に含まれる規範以外の掟を神は任意に特免することが可能である(p.1045)。2020/12/14

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